日記です。
マッキーが割と好きでした
母親が槇原ファンで、人生で初めて行ったコンサートというのも、母について行った槇原のソレでした。
今や色々あったからか、母もすっかり彼のファンではなくなったようで、私も私で、なんとなく好きではあるけれど、わざわざ普段から聴いたりはしてこなかったこの10年くらいです。
最近ふと、槇原敬之のことを思い出して曲を聞き歌詞を眺めていたのですが、やはりこのひと、とんでもない天才なのではないかと再認識しました。
音楽的なところはあまり偉そうなことが言えないので、歌詞だけに注目して話します。
ANSWER
曲は17歳の頃に書いたという、嘘だろ、と言いたくなるエピソードのある伝説の曲、ANSWER。
君と僕の腕時計 一緒に並べて
君と僕の手のひらを そっと重ねて
愛という窮屈をがむしゃらに抱きしめた
久々にこの曲を聞いたとき、改めて歌詞を噛み締めて感嘆。男性は左手手首表側、女性は右手の手首裏側にはめてる時計が並んで、その手が重なりあって、ってとんでもないロマンチックな情景なんだと思うんですよね。
そんでその瞬間を「愛という窮屈をがむしゃらに抱きしめた」という一節で締めくくる。バケモンか。
優しい歌が歌えない
抱えた苦しみは誰のせいと
人をひどく責める的はずれを
何度も何度も繰りかえして
苦しみは前より増えるばかり
自分の愚かさを理解しながらも、それでも他人を責めるようなことばかりが思い浮かぶというところを優しい声色で歌い上げていく曲。
とにかく辛い、苦しい、という感情が溢れている1番から一転して、2番で視点の変化が現れます。
夏に間に合うように木の葉は
日陰を作ろうと大きくなり
木の葉曇る小さな陰を
愚か者にも分けてくれる
5月。新緑の青々とした葉が揺れるのを見ていたのでしょう。その情景を、「小さな影を分け与えてくれた」と解釈する切り取り方。一体どういう回路でその思考に至るの?
凄すぎ。
北風 ~君にとどきますように~
初雪が舞い降りた街を、一人ぼっちで窓から眺めて歌ったような曲。
今 君がこの雪に気付いてないなら
誰より早く教えたい 心から思った
メインフレーズとなるこの歌詞が、あまりにも良すぎますね。言いたくりますよね、「雪降ってるよ!」って。そういうのを一番に言いたくなる相手っていうのが、愛している人なんですよね。
でも、歌の中で表現しているのはそんな恋心だけじゃなくて、
北風がこの街に雪を降らす
歩道の錆びついた自転車が凍えている
今君がこの雪に気付いてないなら
誰より早く教えたい 心から思った
サビの前半で歌われるのは、しんしんと雪が降り落ちる静かな街の風景。空から降ってくる雪の白さとかに目を向けるのではなくて、「歩道の錆びついた自転車」に目を向けて、それが寂しく凍えていると表現。
こうやって改めて見てみると、視点の切り替え方が上手いんですよね。真似できない。
改めて振り返ってみて、やはり彼は天才なんだなぁと再認識した今日でした。
まあ色々あった件は非常に残念ですが、今もひっそりと感謝・応援しているミュージシャンの一人なのでした。