ささざめブログ

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【映画】しっかり怖いし面白い『ミンナのウタ (2023)』の感想

2023年公開、清水崇監督作『ミンナのウタ』を紹介/レビュー。

紹介/感想

人気男性アイドルグループ、GENERATIONSのメンバー全員を本人役で起用。大して怖くない入門用マイルドホラーという感じだろうな……という想像を裏切り、しっかりJホラー的恐怖を描ききった一作。

清水崇監督といえば、傑作・呪怨シリーズで一躍日本ホラー映画界の巨匠という位置に上り詰めた人である一方で、犬鳴村に始まる村シリーズが映画ファンから酷評されるなど、最近はホラー映画界ではあまり評判が良くなかったお方。(個人的にはそれなりに楽しんでいたのですが、世間の評価はかなり厳しく……笑)

本作も、当初はアイドル映画だろうと期待していなかったのですが、公開当時のSNSでの評判がやけに良い。どうも、考察要素なんかもあって、意外に楽しめる一作だという。

とはいえ、GENERATIONSというグループに一切興味のない私にとって、流石に映画館にまで足を運ぶほどの気概はなく、この度アマプラの対象となったタイミングでようやく視聴したのでした。


ラジオ局の中で見つかった一本のカセットテープ。「ミンナのウタ」とラベルに書かれたそのテープを見つけてしまったのをきっかけに、GENERATIONSの面々、そしてそれに限らぬ周囲の人々が怪異の襲われていくという展開。

同年公開の忌怪島ではVR世界を活用し、これが世間的にはなかなか不評だったりもしたわけですが、今回はカセットテープというレトロでチープなアイテムが大活躍。恐怖描写に大きく貢献します。

日本のホラーらしい、暗くジメッとした恐怖に、テープレコーダーのノイズやら逆再生やらが相性良すぎるんですよね。某S子さんのビデオテープもそうですし、やはりこの辺のアイテム自体が持つ恐怖度というのはたまりません。


全体的な描写は、直接的なゴア表現も基本的になく優しめ。だけど、各シーンで、こりゃ気合入ってるわと思わせられる箇所が満載でした。

自販機の下に突っ込む頭(平地でそんな背の高い自販機良くないですよ!)、布団の中から覗く顔(アレのセルフオマージュ?)などと色々ありますが、最も恐ろしいのが日の差す幸せそうな家庭のワンシーン。

もうネットでさんざんこすられているので詳しくは触れませんが、もう、最高です。母役の山川真里果さんが最高なんです。明るい日常が1秒進むごとに恐怖に塗り替わっていく瞬間がたまらない。再登場のときは逆に顔を見せてこないのがまたいやらしい……。これだけでも見る価値があります。

考察要素もいっぱいらしい

本作、どうやら何度も見て楽しめるみたいなところも多分にあったようで、隠されたテーマやら、こっそり忍ばされた演出、作中で描かれきらなかった設定などが満載だったよう。

公開当時はSNSで色々展開したり、特別サイトを開設したりと、色々あったそうです。流石に公開用に作られたサイトはもう非公開になっているようですが、魚拓サービスで雰囲気だけ味わえます。

web.archive.org

上記のサイトの内容やら、その他考察など、私がフォローさせていただいている肉球どろんさんの記事がとても参考になり、より本作の味わいが深くなる記事に仕上がっているので、映画視聴後にはぜひ目を通してみるのがオススメです。

note.com

まとめ

今年2024年公開の続編、『あのコはだぁれ?』もどうやら好評だったようで、同時期公開の、押切蓮介原作の映画『サユリ』の影にやや隠れ気味な印象がありますが、ぜひいずれ見てみたいなと思えるような一作でした。

噂によると、そちらでも、サナママ大活躍なんだとか……? 真偽は不明ですが、楽しみです!