
紹介/感想
ジョージ・A・ロメロが監督を務めた、現代ゾンビ映画の祖として名高いナイト・オブ・ザ・リビングデッド。オリジナル版が1968年。そのリメイク版がトムサヴィーニを監督として1990年にそれぞれ公開されています。
ネトフリを流していたら、90年版が入っていたので、とうとう視聴。確かにこれはレジェンドだわと納得しつつ、ついでに68年版も見てみることに。どちらも素晴らしいところとそうでないところがあったので、ざっくり感想を書いてみることにしました。
オリジナル版の感想
まずはオリジナル版。動きは緩慢で知能が低いが、頭を撃ち抜かない限り死ぬことはなく、物量で襲いかかってくるゾンビの恐怖というところがしっかり描かれた一作。
冒頭はヒロイン・バーバラのシーンから始まるものの、物語の主人公となるのは黒人のベン。冷静にゾンビの恐怖に一人で対処しつつ、錯乱状態のバーバラを諌め、各キャラクターの最期を看取る役割まで担う。
時代背景的な意味でしょうがないのかもしれませんが、とにかくヒロインが圧倒的に弱い。錯乱して泣き叫び、窓の補強にも一切役に立たない。最期はゾンビ化してしまった兄に襲われあっさり退場と、全然いいところがない。
物語の構成要素は大きく分けて4つ。「ゾンビの恐怖」「閉所でのサバイバル」「生存者同士の対立」そして「絶望」。どれも成立していて、特に最後の絶望の描き方が秀逸なんですよね。希望から叩き落される爆発。幼い少女の変貌。そして、一度は否定した地下が実は安全だったという展開。どれもしっかり嫌で最高です。
ラストシーンも、なんでそんなひどいことするの!という感じですが、ホラーとしては完璧ですよね。まあポリコレ的に今だとこれもヤバそうなんですが……笑
リメイク版の感想
リメイク版はどうかというと、まず主人公の位置がベンからバーバラに移行。それに伴って、バーバラの描き方が大きく変わりました。
時代が反映されて、強い女性を描く必要があったんだろうなと気付かされる描写なんですが、こっちを先に見ているとむしろこちらのほうが自然というか、オリジナル版のバーバラがあまりに貧弱だったなと思わせられます。
基本的な描写はオリジナルを引き継いでいるものの、アレンジされた演出や展開は、どこかバカバカしさを生み出してしまっている感じもあり。
個人的に気になったのは、オリジナル版ではベンが一人で淡々と窓を補強していたのに対して、リメイク版では地下室の面々をあわせてみんなで補強。
これ自体は別にいいんですが、窓に木材を打ち付けている間もずっとゾンビに襲われ続けていて、正直「これ、やっとる場合か?」っていうツッコミが脳内を駆け巡っちゃいました。釘をうちつける→手が飛び出てくる→悲鳴、みたいなシーンの連続に感じてしまったところです。(まあ、オリジナル版は逆になにも起きないシーンがめっちゃ長いので、どっちもどっちなんですが)
終盤の展開は大きくアレンジされていて、ベンと敵対するハリーは、オリジナルではあっさり娘に殺されるもののこちらでは最期まで生き残る。しかも地下室に逃げるベンと反対に天井裏に逃げるんですよね。
ベンとハリーのラストを皮肉的に描くためにさらにわかりやすくしたという演出だと思いますが、個人的にはなかなか好きなポイントです。
主人公バーバラは強い女性として最期まで生き残り、このゾンビ世界のその後の目撃者として役割を果たすことに。いわゆるポストアポカリプスの世界で、暴徒化した人々の恐ろしさに焦点が当てられ、そんな世界で生きていくことになるという未来への悲壮感を描くエンディングが待っています。
オリジナルはあの館の中だけで物語を終わらせた感じでしたが、こちらはもう少し世界全体に目を向けて、余韻を残したというようなラストだったと思います。どっちも悪くないエンディングでした。
どっちもすごい
オリジナル版の方は、先見性があまりにもあって、現代で描かれる恐怖の多くの要素を網羅できている傑作だと思う一方で、無駄な描写が多くて、正直退屈だと思ってしまったシーンもありました。
一方でリメイク版の方は、オリジナルの良さを残しつつ、時代に合わせて納得感のある描写にアップデート。でもなんだかやり過ぎに感じるシーンもあって、認められない人がいるというのも納得できるなぁという感じ。
そんなわけで、色んな意見があるのは当然だろうなという結論ではあるのですが、やはりレジェンドですよ。どっちも。冷静に考えて、やっぱり面白いですわ。
まとめ
以上、ナイト・オブ・ザ・リビングデッドの感想でした。レジェンド映画、見てない作品ばっかりなのですが、見てみるとやはり感慨深いものがありますね。
ここから現代の様々な作品につながっているのだなぁと思うと、感動もひとしおです。
ちなみに余談ですが、製造年で同タイトルを区別する習慣のない日本では、リメイク版にはサブタイトルがついています。リメイク版の邦題は「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド 死霊創世記」。
ダサ!と叫んだささざめでした。