ささざめブログ

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【エッセイ】自分と他人の境界線を考える

この記事は、ブログクリーンアップ Advent Calendar 2024( #ブロクリ2024 )6日目の記事です。

生きづらさのワケ

年齢も三十を超えて、成熟し落ち着いた大人になったはずの私ですが、どうにも息苦しくて生きづらいと感じることがよくあります。

ここ数年は特に、SNSを眺めていて、誰かが炎上していたり、不当に攻撃を受けていたりするのを見かけると、そのたびに心苦しく感じてしまい、意味もなく動揺したり動悸を覚えたりしていました。

一方で、その状況を客観視してみると、なんともくだらない悩みであろうと感じます。自分が攻撃されたわけでも、不利益を被ったわけでもないのに、誰かがそうなっているだけで自分に置き換えて考えてしまっているわけです。

いわゆるHPS、つまり「繊細さん(この呼び方も、もうすっかり蔑称ですね)」と言ってしまえば済む話なのかもしれませんが、もうすこし問題を明確化できるのではないかと思っています。それが「自分と他人の境界線が引けていないのではないか」というものです。

自他境界

その発想にいたって、「自分 他人 境界線」とかで検索してみると、すでに定義された用語が存在することがわかりました。それが、「自他境界(バウンダリー)」と呼ばれるもの。

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自他の境界線が曖昧になり、極端に自責的思考に、あるいは逆に他責的思考に陥るということは、よくあることのようです。

なんだ、もう知られている考えなのか、とここで筆を置こうとも思ったのですが、もう少し自分なりに考えを巡らせてみようと思います。


自分と他人の境界線。単純に言葉だけで考えると、そもそも自分と他人とは異なる個であるわけで、そこに関係性は一切ありません。

そこに、家族・友達・同僚といった属性が加わると、自分と相手との間に関係性が生まれます。そこの繋がりの境目を「境界線」と呼ぶのだとすると、たしかにそこに「自他境界」が生まれます。

ネットで見かける「自他境界」の問題は、そんな、自分と関係性のある相手との境界線が曖昧になって起きるトラブルのことに言及していることが多いのですが、私の場合はちょっと違うような気がしてきました。自分と一切関係性のない、ネットで少し見かけただけの人が炎上しているというだけでも、胸が痛んだりするのです。


そこから改めて考えてみると、私が抱えている問題はもう少し違った視点で考えてみる必要がある気がします。

どうも私は、単に自他境界が曖昧だという話ではなく、本来、全く関係性がないはずの相手を、勝手に自分の境界線の中に取り込んで、勝手に悲観している。そんな状況に陥ってしまっているようです。

よく言う「共感性羞恥」みたいなのも、私の場合はこの感覚から訪れていて、自分の境界線の中に対象の人を取り込んでしまっている(あるいは、完全に自分に重ねてしまっている)からこそ、起きている事象なのではないかと気づきました。

世界の多くは、自分には関係がない

結局、何でもかんでも、自分の手の届く範囲にそれが存在するかのように考えてしまうのが良くないわけです。

そう考えた私は、これからの考え方を改め、自分とは無関係な相手の痛々しい光景などを目にしたときに、それを「自分ごと」にしすぎず、ある程度距離を取るという意識を持つ必要があると考えました。

その意識を乗り越えてでも、支えたい・応援したいと思えるような相手なのであれば、そのときは手を差し伸べたり、温かい言葉を投げかけたりすれば良い話であって、そうでないのなら「あぁ、大変そうだな」「可哀想だな」という感想で終えてしまったほうが、自分の心を守ることに繋がるでしょう。

だいたいことは、自分には関係がないのです。今どきのSNSでは、毎日のように憤っていたり悲しんでいたりするいろんな人々の声が、滝のように流れてきますが、自分の目の前にその人はいません。だから、結局殆どの場合、私に直接の関係があるわけではないのです。


とはいえ、この思考を突き詰めていってしまうと、社会断絶だったり、様々なことへの不関心だったりといった別の問題に行き着くような気もします。

いくら自分が「自分には関係ない」として自分の心を守ることに成功したとしても、世の中にいる問題的に声の大きな人は変わらず存在し続け、誰かが不当に傷つけられているかもしれない。それを考えると、本当に目を瞑って、自分には関係ないという立場をとって良いのだろうかとも感じます。

結局堂々巡りで、これという答えがあるわけではないのですが、少なくとも今時点の私としてはやはり「関係ない」という姿勢のほうが大事に思えます。

だって、世の中、変な人ばっかりなんですもん。こんな世の中で、自分とその周辺の人以外のことを考えるのなんて、カロリー消費量多すぎますよ。

だから、もう少し、自分の手の届く範囲のことに目を向けて、そうでないところは遠くから眺める、くらいに考えたいです。

まとめ

以上、自分と他人の境界線についての思考を巡らせてみた回でした。

随分前に、タイトルだけ書いて下書きに移していたものだったんですが、ブロクリアドベントカレンダーを見かけて、コレはいい機会かも、と一念発起して書き上げてみました。

まあ大したことは言っていない随筆ですが、自分の中で一つ考えがまとまった感じがして、大変満足しています。

そんなところで、今日はここまで。明日以降の更新もぜひお楽しみに。

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