2023年公開、永江二朗監督作『リゾートバイト』を紹介／レビューします。
紹介／感想
『真・鮫島事件』『きさらぎ駅』と続いた、永江二朗監督によるネットホラー原作のホラー映画シリーズの第三作。一応これが最終作だったらしいですが、来年にはきさらぎ駅２が出るらしいです。とはいえ、それぞれ繋がっているわけではなく、あくまで個別の作品なので気にせず鑑賞。
（そういえばきさらぎ駅はツイッターで感想書いてました）
きさらぎ駅
— ささざめ＠映画感想用🎞 (@isamiyariku) 2023年6月6日
「ネット発超有名怪談×モンスターパニック×タイムリープ」な感じの作品。原作再現度は低いけど、ところどころ要素を拾ってるのが逆にちょっと笑えちゃう。
演出がとってもチープなのはご愛嬌かなｗ
きさらぎ駅ベースの作品としてはChilla's Artの幽霊列車（ゲーム）のほうが…… pic.twitter.com/wltKX3Tmnf
平成ネットホラー最恐クラスの投稿「リゾートバイト」。当時中高生くらいで、2chのオカ板やら洒落怖まとめを読み漁っていた私にとっても、印象深い一作ですが、その映画版ということで、期待と不安を胸に視聴開始しました。
先に言ってしまうと、本作も前作きさらぎ駅同様、単に元の話を映像化したというわけではなく、映画的にもストーリー的にも、捻りをきかせて一筋縄ではいかない作品に昇華させています。（良くも悪くも、ですが笑）
なので、リゾートバイト原作（原作という言い方が正しいのかわかりませんが）、とはあくまで別物として見るのがオススメです。映画観終わってから読み直した方が、なるほどここをこう利用したのね、と腑に落ちますよ。
……と、同時に、やっぱりこっちのほうが面白れぇじゃねーか！と落胆するかもしれませんが……（笑）
リゾートバイトってこんなんだったっけ……
で、ここからはネタバレ注意なのですが、
肝心の中身をぶっちゃけると、「リゾートバイト×禁后（パンドラ）×八尺様×寺生まれのTさん」のごった煮ミックスに、さらに恋愛青春要素とコメディ要素を掛け合わせたという闇鍋のような一作でした。
映画冒頭は、男女３人組の組み合わせに違和感を覚えつつも、ロケーションの良さで湿ったJホラーの恐怖を予感させてくれます。閉ざされた２階。上がった青年が腐った食物を口にして帰ってくる。演出こそチープさがありますが、このあたりの展開はまさに「リゾートバイト」という感じで、そうそうそんな話だった！とワクワクでした。
中盤、いよいよ物語が動き出すという感じで繰り広げられる逃走劇の緊張感のなさに失笑させられ、この「リゾートバイト」の真骨頂的部分である、お堂での恐怖体験の部分で、まさかの八尺様の登場で逆に笑ってしまいました。
顔が見えるまではよかったんですけどね。ほん怖最恐と名高い、「顔の道」で、女が階段から降りてきたときを思い出す恐怖だったんですよ。
メガロドン将軍さんのフジテレビ『ほん怖／顔の道』の投稿がかなり反響のようで感謝です。
— 鶴田法男 Norio Tsuruta（恐怖コレクター、呪ワレタ少年、亡霊学級、ほん怖） (@NorioTsuruta) 2023年6月8日
2018年の『ほん怖 傑作選』で再放送された際にロケハン写真と共に裏話を記したのでリンクを貼ります。
もう１人のエレベーター、憑依の祠、誘う沼、姉さん、深夜の鏡像、にも言及。https://t.co/2oiydebzi0 https://t.co/MF45nFR5VS
でも顔が……あと、帽子がなぜか赤いし……。まあ多分これ、いろいろ「混ざりもの」だっていうことを表現してて、単に八尺様なんじゃなくて、アクロバティックさらさら（アクさら）とか、ほかにもわからないけど混ぜ込んでるんじゃないかなと思います。恐怖だけでいえば、顔は出さない方がよかったなぁ、とおもったり。
コメディが加速する中盤以降
八尺様登場以降は、急速にコメディ要素が加速していきます。
序盤からやけにキャラが立っていた中年おじさん（演：松浦祐也）と、主人公とヒロインを助けようと立ち上がる影の主人公（演：秋田汐梨）がいいキャラなので、これはこれで楽しいんですよね。
最悪の「君の名は」も始まったかと思いきや、八尺様とのカーアクション（ターボババア？）。ここの八尺様の動き、まじで爆笑ものなので必見です。
その後も、これ見よがしにコメディ演出が入ったり、かと思ったら戦隊ものみたいな特効の除霊が起きたり。これはいったい何を見させられているんだと困惑しっぱなしなのでした。
最後のひねりで、なっとくさせられる
色々と気になるところしかなかったのですが、最後にまっているある「ひねり」で、伏線回収がバッチリ決まって納得させられました。ラストシーンは結構痺れます。
まあ、いろいろとさかのぼって考えるとやっぱりそうはならんやろ感があるんですが、まあ映画ですから。細かいことはさておきですよと。
なにがどうとは言いませんが、私たちが見ていたものは「ユージュアル・サスペクツ」だったわけですね。
まとめ
朝からアマプラで悪役令嬢転生おじさんを見ていたら、たまたま自動再生で流れてきた本作。公開当時話題になっていたので、いずれ見ようと思っていたので、ラッキーでした。
きさらぎ駅も、存外に好評でしたが、こちらも意外に好評を博したようでした。ラストのあれがやっぱり上手かったのかな。
まあでも、久々に原作のほうも読んでみたのですが、やっぱりレジェンドですね。あの二階に上がったシーンとか、お堂で集められて一夜を過ごすシーンの緊張感と、因習ホラーとしての後味の悪さと、一級品でした。
改めてこっちを読んじゃうと、映画はかすむかなぁ、と思ってしまいますが、切り分けて考えればそれぞれ良し、かなぁなんて思うささざめでした。
