
2024年公開、谷口恒平監督作『この動画は再生できません THE MOVIE』を紹介/レビューします。
紹介・感想
テレビ神奈川で放送された、実験的なホラー・ミステリードラマ『この動画は再生できません』の映画版。当初、低予算の中で始まったドラマが、着実に人気を得て、映画となったというストーリーも込みで鑑賞すると、なかなかこみ上げるものがありますね。
というのも、1・2と非常に良くできていて、私も感想記事を書いていました。
シーズン2のラストで発表された映画化の速報で、私もおったまげたわけですが、放映時にはリアルタイムでみることは叶わず、遅れながらこの3連休で鑑賞の機会を得たというわけです。
本作の魅力は、その発明的なシステムにあると思っています。
それ単体では意味のわからないところが多かったり、大した意味はないような単独の映像(ファウンド・フッテージ的なものだったり、あるいは何かの作品だったりと、映像の種類は様々)を見たあとに、かが屋の二人の謎解きパートがくるという構成。
オカルト的な恐怖を、ミステリー的な視点で明快に解き明かすところの気持ちよさと、かが屋の二人の織りなすゆるい空気感を保ったコメディが秀逸で、もうめちゃくちゃ好きなんです。
で、今回の映画。果たしてどうなることかと思いましたが、基本的にこの根幹のシステム部分は変わりません。
不可解な映像とそれの解決編。映画ということで、それらは更にスケールアップして、一つの大きな謎に昇華していく。一見無関係に思えた映像同士がカチりと噛み合う感覚はもう病みつきです!
……と、かなり褒めた感じで書いては見ましたが、実際のところ、ドラマシリーズ時代から続くどこかチープな感じは変わらずだったり、ご都合主義的な要素が強いところがあるのは事実かなと思う自分も。
総じて、傑作です!と両手を上げて喧伝できるほどではないかなぁと思うのですが、ドラマシリーズを楽しんだ方にはぜひとも見てほしいし、なんにせよ、私は大好きな一作になりました。
以下、映画の内容含むシリーズのネタバレを含むのでご注意ください。
ドラマシリーズの延長としてはちょっと物足りない
一つ残念だったところがありまして、ドラマシリーズの続きの物語として描かれるところを期待していたのですが、実際はもう諸々の事件がすっかり解決しきったあとの世界で描かれるんですよね。
まあ、これはこれで、映画だけを見ても成立するようになっているということなんでしょうけれど、ちょっと肩透かしだった部分でした。
とくに、あのシーズン2で謎の人物的に登場した怪しい男の件が、えらく雑に回収されたのが、「ええ、それだけなの!?」と笑っちゃうほど。まあ、言われるまで全然気づきませんでしたけど(笑)
ただ、逆に考えると、かが屋の二人の関係性がここまでもゆるく続いてきたのだろうなという想像の余地もあると考えると、必ずしも悪くはないんですけどね。
やっぱりこの二人の関係性がいい
というわけで、繰り返しになりますが、やっぱりかが屋の二人が演じる、苦労人な編集マン・江尻くんと、元オカルトライター・現幽霊の鬼頭さんの関係性がやっぱたまらないんですよ。
(余談:この、鬼頭さんが死んでいるという事実、初代ドラマの壮大な仕掛けなせいか、公式はどこにも書けないのが難儀だなぁと思います(笑))
今回はあの狭苦しい編集ルームを飛び出して、江尻くんの自宅を舞台にしているわけですが、そこでも自由に過ごす鬼頭さん。死んでるっていうのに、全然そんなことを思わせない間抜けさで、悲壮感ゼロ。
最後の最後まで役に立ったりはしないわけですが、それでも江尻くん(と視聴者)の精神安定剤的な存在になっているんだと思うんですよね。
言ってしまえばこれって、ホームズとワトソン、明智小五郎と小林少年、みたいな「探偵と助手」の関係性じゃないですか。そもそもそれ自体が好きなんですよ。
で、その助手がこういうポンコツ感があって、しかも幽霊でっていうのが、やっぱり発明だと思うんですよね。
そんな発明的な仕組みが持つ魅力を十二分に引き出したのが、かが屋の二人だった、と思っています。
まとめ
映画単体としてみると、粗の目立つ部分や、やや間延びする映像部分、ご都合主義的な展開と、気になるところは多いのですが、シリーズ全体を通してみると大満足な一作でした。
個人的には、とにかくこのシステムと、江尻・鬼頭コンビの掛け合いがたまらなく好きなので、また更に新作作ってくれないだろうか、なんて思ってしまいます。
テレビ神奈川さん! お願いしますよ!
と願いを叫びつつこの辺で。