
氷純 原作、しゅーかま 漫画『十年目、帰還を諦めた転移者はいまさら主人公になる』を読んだので、感想・レビューを書きます。
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紹介・感想
異世界系作品の中には、トラックに引かれて転生するとか、勇者召喚に巻き込まれるとか、色々とお決まりのパターンがあります。物語の始まりかたは、そういう組み合わせパズルから、作品に合った要素を引き当てる、みたいな感じになっている気がします。
始まり方カードの中に入っている要素として、「転生・転移後に神様(的な上位存在)に世界の説明を受ける/受けない」っていう要素があると思っていて、本作はその「受けない」パターン。
要素的には、
- 異世界転移(召喚)
- 上位存在からの説明なし
- チート能力有無不明
という感じ。
上位存在からの説明がない、突然の転移パターンでパッと思いつくのだと「デスマーチからはじまる異世界狂想曲」のサトゥーなんかまさにそうだった気がします。ふと気づけば異世界にいて、最初は夢かとも思ったけど、いつの間にか順応して、もうすっかりその世界の住人になっちゃってた。
今日読んだ『十年目、帰還を諦めた転移者はいまさら主人公になる』は、そんな感じで、何の説明もなく突然異世界転移しちゃう系なんですが、話はそこから9年後にまでワープします。異世界転移から10年目を迎えるB級・ソロ冒険者の主人公・トールが、とうとうもう帰還を諦めてしまうというところからスタート。
始まりの要素こそサトゥーと似ていたトールですが、彼の場合、10年目でも未だに「突然の転移」への恐怖が根付いている。これが物語的なフックになっている作品でした。
言われてみれば、そりゃそうだよなぁっていう感じですよね。なんかもう、すっかり当たり前のことのように受け止めちゃってましたが、ある日突然何の説明もなく急に知らない世界に放り込まれたら、次またいつ同じことが起きるか、と不安になるのなんて当然だよな、と。
主人公の原動力とか、葛藤とか、いろんなことを深く想像できる設定でとても好ましい点です。
漫画力が高くて、第一章からメカ要素は出るわ、主人公は特殊武器だわで、色々と総合力が高いです。いろいろな漫画家さんの影響があるとは思うんですが、個人的にはなぜか、水上悟志イズムを感じるんですよね。
まあ結構設定的にも、これはアレじゃん!とかあのキャラのヤツじゃん!とかっていうのがあって、少しヒヤヒヤする面はあるんですが、なにより漫画が面白いのでいちいち気にしてられない。
主人公は強くてカッコいいし、女の子キャラは可愛いので、それで十分だろ?っていうね(笑)
あなたは双子ヒロインが好きですか?
個人的な推しは、第ニ巻で登場する、ガサツで強いエルフお姉さんの鞘討ちのバストーラさんなんですが、やはり特徴的なのはメインヒロインの双子。
双子ヒロインって、どうしてもサブ的な位置に来ちゃうことが多い気もするんですが、本作では完全にメイン級。
他の作品だと、性格とか見た目とかで差がつけられていることが多いですが、本作のヒロイン・ユーフィとメーリィは、マジで全く見分けがつきません。
まあこの見分けのつかなさは、物語的に重要な役割を担うのですが、それにしたって見分けがつかない。
設定的にも「思考を共有してる」みたいな設定が入ってきているので、ただの双子というよりはもはや影分身で常時2体に分裂してる、みたいな感覚があります。
なので、双子だからどうこう、っていうのは実はまだあんまりないんだけど、とりあえずちんまりしててちょこまかしてるのが二人いて可愛いが倍。ロボロフスキーハムスターがいっぱいいると可愛いのとおんなじです。
既刊の範囲では、まだその双子であることが活かされきっていない感じがするので、この先彼女たちの感情の機微とか、思考を共有していることによりどんな物語がまっているのかが気になるところです。
まとめ
ページを捲る度にワクワクする感じのファンタジー漫画でした。
既刊4巻。まだまだ先が気になりますね。最新刊ではダウナーメカニックのマッドサイエンティスト的な気質のお姉さんも登場。見た目は可愛いですが、性格にめちゃくちゃ難ありでとても良いキャラでした。
単行本だと、描き下ろしがネタに全力過ぎて好き。オススメ作です。是非!
