ささざめブログ

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【漫画】世界は腐女子で回ってる『ダィテス領攻防記(全6巻)』の感想

牧原のどか 原作、狩野アユミ 漫画『ダィテス領攻防記』を読んだので、感想・レビューを書きます。

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紹介・感想

Web小説原作の作品を多く擁するアルファポリスさんの、女性向けコミックスのレーベル?でレジーナコミックス(レジーナブックス)というところがあります。

異世界を舞台にした令嬢モノとか聖女モノとか、そういう作品がずらりと並ぶレーベルなわけですが、その中でも異色に思える作品がこちらの『ダィテス領攻防記』。異世界から転生してきたとある令嬢が、現代知識を使ってダィテスというその領土を繁栄させるというテーマの、いわゆる内政・戦記モノです。

その中で、領に嫁いできた元皇太子とのラブコメ展開があって……とこれだけ並べると、あぁ、よくある令嬢モノね、という感じ。

でも実はそれだけの作品ではありません。まずこの令嬢はド級の「腐女子」。しかもナマモノ大好き・カプリングは無限に妄想可能でリバもハードも大好きな超雑食タイプ。さらに、そのBL趣味を世界に発信することすら目論む超過激派腐女子。

で、そんな主人公を取り巻く女性達、侍女のクラリサを筆頭に、屋敷に住まうメイドが軒並み腐女子。物語途中で加入する新たな転生者すらも腐女子。

さらに、そんな腐女子たちの願望が具現化しているかの如く、男性陣たちも凄い。

主人公のパートナーとなる元皇太子・マティサ。その義務として、当然のごとく主人公と一夜を過ごす男であるわけですが、実は彼はその右腕である青年・コシスとも夜をともにする関係であることがそうそうに明かされます。つまり、バイセクシャルと呼んで差し支えないでしょう。

彼ら二人だけにとどまらず、登場する男性陣たちが、揃いも揃って男色の気がある。世界観的にある程度そういうものだという説明はあるものの、それにしたって割合が崩壊している。

でも、男女の甘々展開もしっかり用意されていて、主人公・ミリアーナとマティサの凸凹なのにナイスカップルぶりは見どころの一つにもなっています。

漫画を読みながら、「BLなの!?」「いや、NLなの!?」「この世界の貞操観念はどうなってるの!!」とツッコミがとまらない一作でした。

目まぐるしいダィテス領を取り巻くアレコレ

人間関係に対する驚きだけでずいぶん書きなぐってしまいましたが、物語としての魅力ももちろんあります。

ベースは歴史モノっぽい感じで、国境間の緊張走る中で謀略が張り巡らされながら、時には失われる命もありつつ、平和に向かって国々が大きく動いていく展開。これは読んでいてワクワクする部分でした。

物語の導入としても、よくある「現代知識を使いつつも苦悩しながら新規製品を開発する」みたいなところは実はもうすでにかなり終わっていて、重要なものをすでに開発し終えているところからスタートするのが新鮮でした。

まあちょっと発展しすぎという感じはあるんですけどね(笑) 自国の他領にすら知られずに鉄道を敷設してるのはさすがにやり過ぎでは、と(笑)

そんなやり過ぎ感もありつつ、しっかりピンチにも陥る物語なので、飽きずに一気読みしちゃった作品だったのでした。

まとめ

実は、本作の原作者・牧原のどか先生は、2017年に事故で急逝されていて、残念ながら本作原作も未完の状態のようです。非常に惜しいですね……。

ただ、漫画としては、途上感がありつつもキリのよいところまで描かれきっています。腐女子文化に理解のある方にはオススメ一作です。

ちなみに、漫画を描かれた狩野アユミ先生は現在、「草魔法師クロエ」を連載中。こっちも凄い作品です。

sasazame.hateblo.jp


余談ですが、「ダィテス」って、どうやって発音するんですかね……。ダイテス?でいいの? ディテス?っぽい感じなの?

読書中気になって仕方なかったささざめでした。