
2018年ドイツ制作、2020年日本公開、クリスティアン・アルヴァルト監督作『カット/オフ』を紹介/レビューします。
紹介/感想 (なるべくネタバレなし)
真ん中にスラッシュが入っている映画といえばなんでしょう? そう。『ライト/オフ』ですね!
あっちは、電気を消した瞬間に動き出す怪異を表したド直球ホラー。じゃあこっちは? というわけで、今日見たのがこの『カット/オフ』。
実は中身は、ホラーというよりは、「サスペンス・スリラー」な一作。そして、めっちゃんこ面白いです。
描かれるのは真冬のドイツ。でももっと北欧っぽい雰囲気もあって、雪が吹き付ける、暗い街、そしてとある孤島が舞台です。まずロケーションからいい。
そんな寒々とした舞台で描かれるのは、かなり手の込んだ猟奇殺人、そして誘拐事件。
視点は2つの舞台を行き来しながら描かれます。一方は、とある監察医・ポールを主人公とし、彼のもとに運び込まれた、顎がパッカーンと割れた女性の遺体の内部に隠された謎のカプセルをきっかけとして始まる、誘拐された娘を取り戻すために与えられた謎を解き明かす視点。
もう一方は、吹雪により完全に孤立した島で、ストーカーから身を隠して過ごしていた漫画家の女性・リンダの視点で描かれます。波打ち際でみつけた死体。その横でなる電話。それを取ってしまったところから、彼女に大きな災難が降りかかることに。
ポールとリンダはそこから電話でのやりとりをしながら、死体に隠された秘密を解剖で暴きつつ、すべての事件の謎を紐解いていくという展開。
このプロットだけでもかなりのワクワクもの! これをさらに彩ったのが、キャラクターの良さでした。
(この先は、ネタバレ成分多めになります。注意です。)
ダブル凸凹コンビは力技だけど楽しい
ポールの方は、娘を取り戻すためにとにかく必死に行動するわけですが、そんな彼の相棒となるのは、どこか気の抜けた、役に立たない雰囲気の「研修生」。でもむっちゃイケメン。フォール・アウト・ボーイのボーカル、パトリックの若い頃みたいな感じでむっちゃかっこいいんです。頼りない、けどなにか秘密がある。
ベテラン監察医・ポールと、へなちょこ研修医・インゴルフの凸凹ゴールデンコンビ感はなかなかのもので、この二人の絡みだけでもう一作作ってほしいと思うほどでした。
さらに、リンダの方にも相棒役がいて、それが、エンダーという屈強そうな用務員(?)の男。
やや気の強いところのあるリンダに対して、体こそ大きいけれど、死体に触れてそっこうゲロは吐くは、解剖が本格的に始まるとどっか行くわで頼りなさが半端じゃない(笑)
でも、こいつも憎めないキャラなんですよね。このダブル凸凹コンビが本作の目玉の一つでした。
キツい描写が結構多い
個人的には大傑作だと思った一作だったんですが、人に勧められるかというと首を捻ってしまいます。
というのも、かなり「キツい」描写が多いんですね。
まずは目玉の解剖シーン。これはかなり直接的だし、冒頭からクライマックスというか、まあ端的に言って「グロい」です。ただ、某S◯Wシリーズのような「痛み」を感じるというのはないかも(死体が相手なので)。でもやっぱ単純にグロいです。
さらに、本作の根幹的な部分でもあるのですが、直接的な強姦描写があります。ここは正直もうちょっとぼかしてほしかった。自分でも目を背けたくなるくらい辛いシーンでした。見られないひとは見られないと思う。
さらに、自殺描写もあるし、強いフラッシュの連続の描写もあるしで、結構問題のありそうなシーンが多いです。結構メンタルが安定してないと見ちゃいけない映画かもしれない。
でもそれを乗り越えてでも、見る価値がある映画だと、個人的には思いますよ。
まとめ
正直、冷静に考えると、(動機と結果的にみて)あまりにも理解のしがたい事件ではあるのですが、映画としては最後まで緊張の糸が切れることなく、ハラハラドキドキの120分強でした。
キャラクターがすごく立っていて、本当にこれで続編作ってほしいなぁと心から思ったのですが、多分そういう感じではないんでしょうね。残念(笑)
ちなみに、海外の評価を見ていると、原作ファンには不評らしいです。というか、原作があるならそっちも読んでみたいなぁ。
ほんと、それくらい面白い物語でした。グロなどもろもろに耐性のあるサスペンス好きにはぜひともオススメな一作です。