ささざめブログ

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【漫画】最上級に愛が重いすれ違いラブコメ『10回婚約破棄された私が冷徹公爵様に溺愛されるなんて罠ですか?(既刊2巻)』の感想

もり 原作、香月あこ 漫画『10回婚約破棄された私が冷徹公爵様に溺愛されるなんて罠ですか?』を読んだので、感想・レビューを書きます。

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紹介・感想

婚約破棄なんて、なんぼされてもいいですから――

惨めに婚約破棄されてしまった令嬢が、突然現れた公爵様に突然プロポーズされ、あれよあれよという間に溺愛されるという物語は、いまや石を投げれば当たるというくらいに増えたこの頃ですが、本作はそんな作品の中でも一際コメディ色が強くて楽しい一作でした。

主人公となる令嬢・シャルロットは、その可憐な見た目に反して、裏では狂犬令嬢とまで呼ばれる武闘派気質のあるお転婆娘。

とは言え、どこかにいそうな「気に入らない相手はぶん殴らないと気がすまない闘拳令嬢」とか「冒険者として八面六臂の大活躍をしている勇者令嬢」みたいな強さではなく、自分の身は自分で守れる、くらいな雰囲気で基本的には愛らしさが勝つ女性。なぜ彼女がそう何度も婚約破棄されるのか、というのもちょっとしたフックになっています。

一方、そんな彼女の前に現れるのは、自らの障害となるものには一切の容赦なく切り捨てる、冷徹公爵様・レオン。

この手の男は、大抵すぐ主人公に落ちて、早々に溺愛モードに入っていくのが常というものですが、この男に至っては次元が一つ違います。その雰囲気は、完全なるストーカー。

しかし、シャルロットから見た彼の振る舞いは、あくまで世間の噂の「冷徹公爵様」であり、しかも自分のような「狂犬令嬢」は捨てられてしまうんではないかとか、きっと彼には愛人がいて、偽りの婚姻を結ばれそうになっているんだとか、思考が斜め上の方向に突き抜けていってしまいます。

そんなわけで、あまりにも愛が重い故に自らの内心をシャルロットに明らかにしないレオンと、レオンの真意に気づかないながらもレオンのことを天使のようだと感じて彼からの真の愛を受けるべく奮闘するシャルロットの、アンジャッシュばりのすれ違いラブコメが展開されるというわけです。


あと、本作をもう一歩コメディに近づけるべく大活躍するのが、密偵のジャン(ジョン、ジェイ)。

人気投票をしたら彼がTOPに来るんじゃないかと心配するくらいの存在感で、レオンの理不尽な命令を一身に受ける姿はあまりにも「不憫」なんですが、それが心地よくて、「可哀想」にまではいかない絶妙なラインで描かれます。

シャルロットとレオンの恋模様が進む傍らで、果たしてジャンの命は無事なのか、という楽しみも持てる一作なのでした。

まとめ

「あーもう早くくっつけよコイツラ」系の作品なのですが、毎ページ楽しくて飽きない一作でした。

シャルロットがあまりにも天使なので、だんだん自分もレオンに感情移入してくるのですが、やっぱりレオンの愛が重すぎてドン引きしながら笑って読める作品です。オススメ作!