
仁木 克人 原作、堀部 健和 漫画『魔王城、空き部屋あります!』を読んだので、感想・レビューを書きます。
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紹介・感想
勇者と魔王。
その関係性は、いくつになってもワクワクするものですが、今作ではそんな二人が、わたしたちの生きるこの現世日本に突然転移してきます。しかも、「魔王城」と共に。
勇者と魔王、ついでに魔王城が現れた場所は、都内某所のマンション建設予定だった空き地。にらみ合う二人の間に割って入るのは、その土地の持ち主である壮年の女性・京子さんの孫娘である、しっかりものの女子高生・結亜。
魔王を打ち倒すことしか考えていない筋肉バカの勇者、元の世界に帰らんと内心企む魔王、祖母の大事な土地を守り抜かんと魔王に詰め寄るJK。そんな3人をはじめとした、クセの強いキャラクターが多数登場する、まおゆう不動産コメディな一作でした。
とにかく、そのタイトルとあらすじで伝わると思うんですが、舞台設定が秀逸でしたね。
現代に異世界から勇者と魔王が……なんて作品はちょこちょこありますが、魔王城ごとやってきて、しかもその魔王城に「人を住ませる」なんて展開になっていきます。
普通に考えたら、人が住める感じにはならないだろ?と思えますが、しっかり説得力のある展開が用意されていて、だんだん魔王城がすごい優良物件に見えてくるんだから不思議です。
なにより魅力なのは、やはり魔王のキャラクター性。
内心残虐なことも考えつつ、魔王らしい風格と余裕を見せたかと思いきや、結亜や住人たちの要望のため悪戦苦闘したり、娘のような存在のネフィリー(めちゃくちゃ可愛い)に実の親以上の慈愛を注いだり。
コロコロと変わる表情で愛らしさをどんどん増していきつつ、終盤はきっちりかっこいいところを見せてくれる。
正直、非の打ち所のないキャラクターでした。僕がモンスターだったら、魔王様に一生ついていきます!と言いたくなるような良い男。
漫画の作画の素晴らしさが、各キャラクターの魅力をさらに引き出しているんですが、特にこの魔王と、少女ネフィリーは眺めているだけで癒やされるような二人に仕上がっていて、もっとこの物語に浸っていたくなったのでした。
90組の入居者を集める、というテーマはありつつ、実際にキャラクターとして登場するのは数人なんですが、またどのキャラもクセ強で楽しい。
一人ひとりがトラブルメーカーという中で、そんな彼らと魔王がどう向き合い、住人の不満を解消するのか。そこも見どころの一つになってきます。
個人的な推しキャラは、最初の印象が最悪だった、人気実況プレイヤーだという青年。最初の印象こそ悪かったけど、終わる頃には凄く好きなキャラクターになっていました。(一方で、最後までヤバいだろ、と思っていた、ある夫妻もいましたが……(笑))
まとめ
全3巻と、あっさり終了はしてしまいますが、最後の事件も緊張感があって大満足の一作でした。
まあ個人的には、結亜の家系、土地持ちで新築マンション建設予定でって、めちゃくちゃ金持ちじゃね?みたいな嫉妬が頭をぐるぐる巡ってしまって、特に最初の方はあんまりピンと来てなかったのも事実なんですが。
そういうのもあって、実は結亜には良い感情を抱きにくかったというのも本音ではありつつ……(笑)
まあでも、やっぱり魔王がとてもいいキャラだし、勇者や住人たちもキャラが立っていて面白い。
素直に、もっと読んでみたかった一作でした。
