ささざめブログ

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【小説】狂気の街は今日も雨『死体の汁を啜れ』の感想(Audible版)

白井 智之作『死体の汁を啜れ』をAudible(Audio Book)で読んだので、感想・レビューを書きます。

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紹介・感想

Audible3ヶ月99円セールで加入してしばらく経ち、そろそろ3ヶ月が終了しそうということで、継続課金をストップした私。さて、残りの期間でもうちょっと聞こうじゃないかと、気になる作品はないかスクロール。

やけにポップで、ビビッドな色使いなのに、物騒なタイトルの表紙が気になってタップしたのがこの『死体の汁を啜れ』。

作者の白井智之さんは『名探偵のはらわた』などのタイトルで人気を博す、猟奇的でアンモラルな作風が特徴の人気ミステリ作家、らしいです。まあ、そんな前情報もそこそこに、ひとまず聞き始めました。

文字の読めない小説家、冷酷だけど深夜ラジオファンなヤクザ、ヤクザ事務所に出入りする怪しい占い師の女子高生、裏金を受け取って殺人事件をもみ消しまくる女刑事……。もうお腹いっぱいだよ、と言いたくなるような突飛なキャラクターたちが次々と登場しながら、淡々と繰り広げられていく猟奇事件の数々。

とんでもない事件ばかり起きる街・牟黒市で、次々生まれる衝撃の死体たち。その謎を、先述の冴えない小説家が、淡々と解決していきます。

前評判通りのアンモラルさは半端じゃなく、そんな事件が8編も収録されてるっていうんだから、作者の脳内はどうなってるんだと心配したくなるような一作でしたね(笑)

映像化したら、そりゃあもうとんでもないスプラッタになりそうな内容なんですが、書きっぷりが生み出すものなのか、まるでそんなのどうでもないことのような素振りで、サラリと推理が進んでいく。起きていることは最悪の連続なんだけど、事件解決でお金貰えたラッキ~みたいなお気楽さがある。

そんな作風なので、かなり人を選ぶ気がするんですが、劇的に描かれるわけでも、恐怖的に描かれるわけでもないそれらは、個人的に心地よくて楽しい作品だったのでした。

いややっぱやり過ぎだろ!

心地よくて、なんて感想まで繰り広げてみましたが、実際のところ、これはちょっとやり過ぎだろうと目を背けたくなるようなお話もありました。

特に「こんなことやっていいのか……?」とまで疑ったのは、「何もない死体」と「死体の中の死体」の二本。

「何もない死体」では、首と四肢を切断された男の死と、ある少女にまつわる話が描かれるわけですが、なんでそんな酷いことができるのかと、犯人を飛び越えて作者にも矛先を向けかねない惨さが。

「死体の中の死体」も、タイトルの通りの猟奇的殺人事件が描かれるんですが、真相の無慈悲さにただただ気力を無くす。

まさしく"アンモラル"を冠するにふさわしいエピソードであり、個人的にも心をすごく揺さぶられたエピソードでありつつも、無批判に称賛を掲げることはできないと思ってしまいましたね。

まとめ

こういうのが本格ミステリなのか?と少し疑問なのですが、読み終わって他の人の感想とか見る限り、これが本格ミステリらしいです。

とはいえ、漫画的とも思えるほどの強烈なキャラクターたちで、すごく入り込みやすくて、気軽に読み始められそうだなと思いました。まあ、結局中身は人を選ぶので、オススメはとてもできないですが……(笑)

とりあえず言えることは、「こんな街住まないほうがいい」っていうことだけですね(笑) どこぞのメガネの少年や、名探偵の孫の住む街くらい恐ろしい街なのでした。