ささざめブログ

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【漫画】悠久の魔女は今日も世界を書き記す『樹海の魔女』第1巻の感想

遊行寺たま 作『樹海の魔女』を読んだので、感想・レビューを書きます。

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紹介・感想

以前、『貧乏令嬢の勘違い聖女伝』という作品で知った漫画家さんの遊行寺たま先生。キャラクターの愛らしさ、線の細やかさ、それにダイナミックなバトル描写までも兼ね備えた漫画表現はまさに一級品。そんな先生の最新作の単行本が、つい先日発売されました。

『貧乏令嬢~』は原作付きコミカライズでしたが、今作はオリジナルもの。

主人公は、樹海の魔女と呼ばれる少女・エリ。不老不死である彼女は、森の外の世界で出会ったものを紙に書き記す。その記録は、結界に隠された森の中の図書館で、長命のエルフである館長・アリオウィストゥスと人間たちの手によって、製本される。

生きる時の長さが全く異なる人間たちや、瞬く間に変わりゆく世界を、彼女だけがもつ時間の流れの中で観測するというようなテーマの物語です。

主人公のエリは、一度眠れば年単位で眠りっぱなし。ひどいときには50年も寝過ごしてしまうような、どこかの4年に一度しか起きない人もびっくりの寝坊助さん。起きたときには、もう以前お世話になった人間が成長していたり、死んでしまっていたり。

一見すれば寂しく、悲惨なようにも思えるんですが、当のエリは気にしているのかいないのか。どこ吹く風といった態度でまた旅に出る。このあたりの質感が、湿っぽすぎず、でも儚さも帯びていて、凄く絶妙でした。


第一巻では主に、ある捨てられた少女との出会いが描かれます。

顔に大きな傷のある少女。暗い生い立ちを持っているであろう彼女ですが、それはもうとにかく愛らしい。ここ数年で、こういうムチャカワな子供を連れ歩く系の作品も増えた気がしますが、数あるそれらと匹敵する可愛さでした。

一方で、差別化的な意味合いで、これ(子供との旅物語モノ)を主軸にしていくのはどうだろうかという不安も抱いてしまったんですが、結果的にはそこは杞憂にいたりました。

今はまだ、という状況なのかも知れませんが、少なくとも一巻の段階では、あくまで「樹海の魔女」としての距離感で描かれた出会いになったのでした。

一見すれば冷たいような、でも、やっぱり優しいような。やっぱり不思議な温度感が保たれた第一巻でした。

ちなみに、第二巻の予告では、それどころではない状況が見えていて、この先どうなるのかと心配するばかりですね(笑)

まとめ

"つよつよまほーつかい"な長生きのお姉さん。どうしても、某人気作品の影が思い浮かぶところではありますが、それとはまた違った独自の物語が展開される本作。

なにより、たま先生の描くキャラクターの可愛さと躍動感とかっこよさと、色んな魅力が詰まっていて1ページごとにじっくり眺めたくなる一作だったのでした。怪物造形も凄いし、魔法の描写も綺麗だし。

そんなわけで第二巻以降も楽しみです!