ささざめブログ

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【感想】フェイクドキュメンタリー「Q」|『Q2:7 テイク100 - Take100』

YouTubeにて配信されている大人気ホラーモキュメンタリー、フェイクドキュメンタリー「Q」の最新作シーズン2第7話『Q2:7 テイク100 - Take100』の感想とちょっぴり考察を書きます。

本編

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紹介・感想

前作、『Q2:6 隠しリンク - Hidden link』の公開から約五ヶ月。久しぶりのQ最新作が公開されました。

途中、テレビ東京で放送された、フェイクドキュメンタリー「Q」制作陣も深く携わったイシナガキクエを探しています(現在YouTubeで無料公開中)を挟んだので、なんだか久しぶりな感覚も少し薄れていましたが、ようやくですね!

※余談ですが、TXQ FICTIONの第二弾がすでに示唆されています。公式情報を要チェックです

ここからはネタバレありで感想を述べていきます。先に作品のご視聴をオススメします!


前回は懐かしのインターネット・ホームページで表現された無限の地獄ともいうべき恐怖が描かれましたが、今回描かれたのは、昔懐かしいフィルム映画から繰り出される恐怖。

作品冒頭は「おもちゃ映画ミュージアム」という京都に実在する施設での映像からスタート。

途中で映し出されるホームページも、同施設の実際の紹介ページを利用していたりする一方で、館長として紹介される「金森龍三郎」さんは架空の人物。実際に検索してみると、別の方のお名前がヒットします。真実と虚構の境目が曖昧で、不気味さが募りますね(笑)

インタビュー映像中に差し込まれたフィルム映画や展示物も、おそらく実際に同施設に貯蔵されている価値ある映像。そのため、冒頭はなんだかNHKの教育的なドキュメンタリーを見ているような感覚にさせられました。

(作品中で登場した『丹下左膳第二篇 剣戟の巻』(1934年)、『仇討選手』(1931年)が登場する、おもちゃ映画ミュージアム公式動画)

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今回のメインとなるのが、この施設に送られた「未編集の映画フィルム」、つまり撮影素材。館長はその映像の「テイク数だけが異様なんです」と言います。

なるほど、今回はそういうパターンね、とニヤニヤしながら見進めました。

画面に映し出されるのは、「22-1-1」と書かれたカチンコ、和装の男女とちゃぶ台、空いた襖、そしてその先に横たわるナニカ。

布団の上に死体のようなものが横たわる古い映像という組み合わせは、嫌でも『Q1:10 来訪 - The Visit』が思い出されます。果たして意図的なのか否か。

しかし、ファーストインプレッションで思い出した来訪とは異なり、今回はかなりスローペースで映像は進行していきます。

なんの変哲もないカットが繰り替えし繰り返し。おいおいいつになったら何かが起こるんだよ、としびれを切らしかけたところにようやくスタッフと館長の会話が差し込まれて、緊張の糸が緩まされます。

ちなみに、テイク数190を超えたというキューブリックの映画はかの名作『シャイニング』の、有名すぎる、例の扉から顔をだすジャック・ニコルソンのシーンですね(笑)


そしてテイク数が40番台へ差し掛かり、「そのあたりから変化が起こり始める」というナレーションの声とともにようやく映像に変化が。

その瞬間、緩まされた緊張の糸がピンと音を立てて張り直され、まるで心臓をぎゅっと鷲掴みされたような感覚が走りました。普段だったら、単にそのシーンだけ見せられてもなんとも思わないような映像なんですが、演出の流れとして完璧すぎます。

明らかにそこにいる黒いなにか。そして、それでも関係なく、同じ芝居を延々と繰り返す男女。


「フィルムの最後までご覧いただきます」という字幕が表示されたあとは、ノンストップでこの謎の映像が見せつけられます。

中央に写る遺体らしきものに向かって拝む女性。そして、どんどんオカシクなっていく映像。明らかにそこに何かがいて、まるで貞子が井戸から出てくるみたいに、どんどんコチラに近づいてくる。

ソレが見えなくなっても、映像はどんどん異様な状況に。しかし重ねられていくテイク数。そして、ようやく訪れたテイク100で、作品も終了。今回も、「いったい何を見せられたんだ」という疑問と、「どうもなにかヤバいものを見せられたんじゃないか」という恐怖感だけが取り残されたのでした。

多すぎる謎をちょっぴり考察

今作、殆どが謎に包まれていて、こじつけようと思ったらいくらでもこじつけられちゃいそうなのですが、個人的に謎だと思っているところや気になったポイントをまとめて置こうと思います。

考察っちゅう考察でもないので、まあ優しい目で見てやってください……。


蔵の掃除で出てきたというフィルム。送られてきた経緯などが殆ど語られないため、そこに何か隠された意図があったのではというのは読み取れないところでした。

ただ、多くの人が指摘する通り、館長の言った「テイク数だけが異様なんです」という台詞は、実際の映像と明らかに食い違う発言です。

おもちゃ映画ミュージアムが実在の施設であることを鑑みると、館長が嘘をついているという線は考えにくく、どちらかというと「見えているものが違う」という方向性なのではないでしょうか。

映像自体の質感が、先述の「仇討選手」の映像などと比べると現代的でフィルム感がやや損なわれていることもあり、設定的に後付された映像/関係ない別の映像を見せられているということなのではないかとも思ってしまいます。

……が、そうだとした場合も、同じテイクを何度も繰り返した別の映像(ミュージアムに届けられたほうの映像)が存在するということになり、そっちは何なんだという話になるのですが(笑)

まあ、館長自身がすでに蝕まれていて、誘い手の役割を担っているというパターンもありますね。フェイクドキュメンタリー「Q」シリーズ全体がそういう構成だとも思っているので、むしろそっちの方向で考えたほうが自然なのかも。

そうだとすると、あの場であの映像を見せられたスタッフはどう思ったんでしょうね……明らかにヤバいものが写ってるのに、平気な顔をしている館長と相対してるのを想像するとちょっと笑えてしまいます(笑)


映像の出自の部分を無視して、映像の内容のほうに目を向けてみると、なんども同じテイクを繰り返すという部分には、前作の「隠しリンク」でも描かれたような、何度も繰り返す虚無とその中にある変化で表現される恐怖があると思います。

やはりテイク100の"100"という数字には何か意味があると感じさせられますよね。多くの人が百物語などを連想している様が見られましたし、100回を達成した結果として何らかの儀式が完成されてしまったというような見立ては当然出てくると思います。

個人的には、この映像は、フィルムが映写機で映し出されて初めて完成する怪異なんじゃないかと思っています。というのも、明らかに異常な自体が起きているのに、演者の二人が全く動じず、変わらずに演じ続けているんですよね。

なので、彼らが演じているその場では何かおかしなことが起きているということはなく、フィルムの中で増幅されたナニカなのではないかと。


ただやはり、映像そのものの意図が不明ですよね。何かの呪いなんだとしたら、なんのために?誰に向けて作ったものなのか?

映像で使われるカチンコには「22-1-◯」の数字が書かれます。Wikipedia曰くこれはシーン番号、カット番号、テイク番号の順に書かれることが多いようで、今回の映像が第22シーンの第1カットだったんだろうと推測されます。

そうなると、やはり何かしらの映画作品として、一連のシーンが撮影されているはずで、この部分だけを撮影する目的だったわけではないと思うんですよね。少なくとも1~21のシーンが存在することになるので。

けれども映画は後の世に残されなかった。このテイク100が撮影されたことで、クルーになにか異変が起こり撮影が中断されたのか、撮影そのものが目的だったから映像が世に出なかったのか……。


「誰の意図で100テイクも繰り返したのか」「他のシーンの映像はどこに行ったのか」「なぜ蔵でこのフィルムだけが見つかったのか」「館長はなぜテイク数だけが異様だと言ったのか」などなど、もう何もかもが謎に包まれています。お手上げです。

まとめ

今回は、映像的に起こる変化がゆるやかで、「Q」シリーズ玄人向けという感じがしましたね。

作品全体に張り巡らされた謎を考察するための糸口がほとんどなく、ここのところの作品と比べて遥かに難解な印象もあります。

テーマとしての「日本映画」のチョイスは、ここのところのフェイクドキュメンタリーの風潮から一歩引いて、恐怖描写の原風景が描かれているようで、素敵なポイントでもありました。「日本映画史に存在しない、異様過ぎる未編集映画フィルム」って、公式Xの煽り文句、面白そうすぎるでしょう(笑)


ゆっくりと進行しているシーズン2。1と同様全12回だとするともう折り返したところに来ています。早く最後まで見てみたいという思いと、まだまだ終わらないでほしいという気持ちでせめぎあいますね(笑)

今はTXQ FICTIONの新作も楽しみですし、皆口さんのやっているゾゾゾの新作も今夏公開ということで、この界隈がこの先も盛り上がっていってくれたらいいなぁと願っているささざめでした。