YouTubeにて配信されている大人気ホラーモキュメンタリー、フェイクドキュメンタリー「Q」の最新作シーズン2第8話『Q2:8 MOTHER』の感想とちょっぴり考察を書きます。
本編
紹介・感想
前作の『テイク100』から約1ヶ月ほど、夏だからなのか、早いペースで新作が公開されましたね。
今作は、つい最近発売された書籍版『フェイクドキュメンタリーQ』にて新規収録された作品である『池澤葉子失踪事件~母の印影~』の動画版となっています。私は既に書籍版を読んでいたので、サムネイルとタイトルの時点で、「あれが動画でも見れるのか!」とワクワクでした。
いつもは「テイク100 - Take100」のような感じで、日本語と英語タイトルを横並びで書いていましたが、今回はシンプルに「Mother」。こうやって書かれると、なんとなく「母」という存在自体に対する根源的な恐怖が引き立てられているような感じも受けますが、本編では実際のところ母の影は薄いものとなっています。
今作のテーマは、行方不明となった母の影を追い続ける息子の現在に密着した映像。
もう誰も住んでいない実家に、なぜか送りつけられてくる謎の荷物たち。そこに、母の失踪のヒントが隠されているのだと信じ、熱心に考察する息子の姿を見せつけられます。
鑑賞者の視点は「母はなぜ失踪したのか」「誰がどんな目的でこんなものを送りつけてきているのか」という疑問から、徐々に、異常な執念・妄信を思わせる息子の言動への言い得ぬ気色の悪さへと移っていきます。フェイクドキュメンタリーQシリーズでは様々な恐怖が新感覚で描かれてきましたが、今回また新たな、体験したことのないタイプの怖さ・気持ち悪さが味わえる一作になっているのではないかと思いました。
一部の真相(?)は書籍にて
先述の通り、本作は書籍版フェイクドキュメンタリーQに収録済みの一作です。
動画ではあまり触れられなかった、実家と現在の自宅を行き来する息子氏の異常さや、動画ではカットされた一部の写真など、書籍を読むことでより本作の解像度が高まる仕組みとなっているので、本作のことがより深く知るためには、本を読むのが必須となってきています。
とはいえ、私の感覚としては、動画と本はある意味別物といいますか、必ずしも本に書いてあることが真相なのではないと思っています。数多ある考察や、そこから発展して作られた物語の、そのうちの一つが公式から提示されたもの、くらいの感覚で読むのが良いのではないかと。
そんな予防線を張ってはみたものの、本作については、書籍にて本作の核心とも言える「誰があの荷物を送りつけていたのか」が部分的に明かされています。そしてこれが、もうとんでもなくおぞましい。Qシリーズのなかでもかなり上位に値するような気持ち悪い結末になっているのです。
ですので、書籍版が必ずしも本編の真相を反映しているかどうかは不明であるにしろ、この気持ちの悪いある一つの真相の可能性については、ぜひとも読んで確認してほしいところです。
それでも残る謎
書籍版を読んだとしても、まだまだ謎が大量に残されています。
残る大きな謎のなかでも、最大のものはこの母、池澤葉子は一体何をしたのか。なぜあんなに恨まれているのかというもの。
怪文書や、書籍に収録された話を読んでも、彼女が失踪に至った原因らしい原因は一切明かされず、謎のままとなっています。
それに、送りつけられてくる荷物や映像の真相も結局は明かされません。
書籍収録の話から、その殆どは無意味なものであるということがわかりますが、果たして本当にそうなのか。
まるで取り憑かれたかのように推理をする息子氏を、半ばバカにしながら見ていましたが、もしそこに真実があったとしたら。フェイクのなかに本物が紛れ込んでいたとしたら。
そこにはまた別の恐怖が潜んでいるような気がしています。
そもそも失踪は人為的なものだったのか、父は何かを知っていたのか。分からないところだらけな本作。
視聴者の私達にできることは、息子氏と同様に、限られた、意味があるかどうかもわからないヒントを組み合わせて、それらしい結論をだして満足することだけ。
息子氏に向けられた嘲笑の目は、ある意味そのまま私達視聴者に返ってくる。そんな皮肉が込められている、なんて意見も見られました。大変耳が痛い話ですね……(笑)
まとめ
今作、ある意味、書籍のプロモーション的な役割も担っているのかもしれませんね。
個人的には、Qシリーズを楽しんでいる視聴者なら、書籍版も十分に楽しめるクオリティに仕上がっていると思いますので、ぜひとも一読をオススメします。手元に置いておきたいような置いておきたくないような、Qらしい恐怖が味わえる一冊です。
こちらの感想記事も書いているので、もしよければご参考に……。