ささざめブログ

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【漫画】歪んだ愛と命の駆け引き『殺し愛』(全14巻)の感想

Fe著『殺し愛』(全14巻)を紹介/レビュー。

(購入はこちらから)

殺し愛 (1) (MFコミックス ジーンシリーズ)

殺し愛 (1) (MFコミックス ジーンシリーズ)

  • 作者:Fe
  • KADOKAWA/メディアファクトリー
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紹介/感想

愛も死も浮世の混沌――

クール美人な女性殺し屋・シャトーと、彼女に求愛する糸目腹黒黒髪最強殺し屋のソン・リャンハの二人を中心に、ハードでバイオレンスな殺し屋×恋愛物語が描かれる作品。全13巻に加えて、つい先日、番外編となる本編後日譚が含まれる第14巻(After the File)が発売されたところだ。

2022年にはアニメ化もされたそうだが、すっかり見逃していた私。なんと今(~2024/3/14)だけ、期間限定でe book japanにて1~10巻までが無料公開されているということで早速読んでみたのだが、完全にハマってラストまで一気読みしてしまった。

一応、少女漫画の括りということなのだが、もうとにかくバイオレンス要素満載で、出てきたキャラクターはどんどん死んでいくし、主要キャラクターたちもどんどん痛い目に会うし。終盤なんかもう見てられないというくらいな散々な目に遭う。

しかも、単純に銃声と血に塗れているというわけではなく、そこにはかなり多くの黒い思惑と、深く歪んだ愛情が渦巻いており、熱中できるストーリーが描かれた。

メインの軸となるのは、シャトーとリャンハの愛の行く末ではあるものの、めっきりなびくこともなく、とにかくリャンハもカッコよくて性別関係なく楽しめる漫画ではないかと思う。

サブキャラクターたちも魅力たっぷり

作品の性質上、退場キャラが多いし、少女漫画にはとうてい似つかわしくなさそうなおじさんキャラクターもいっぱい登場する本作。だが、それぞれ個性が立っていて上手いと思わせられるところだった。

まあただ、やはり一番魅力を感じてしまったのは、「インド人」。

ほんわか愛嬌たっぷりなビジュアルだし、キャラクターとしてはポップでどこででも活躍するし、かと思いきや意外と危険な目にあうし。作者からの愛がかなり注がれているだろうなというのが如実に感じられるキャラクターだ。

どうやら名前がアニメ放送的には流石にNGだったらしく、アニメでは名前が変えられてしまったようだが……そんなちょっぴり残念なところもまた可愛く思えるところである。

描き下ろしと後日譚

単行本は、かなりの量の描き下ろし漫画やイラストが含まれていて、連載を追っている人でも存分に楽しめるだろうなというような内容だった。

先日発売されたばかりの第14巻では、本編からその後のストーリーが描かれるわけだが、こちらもまた良作。基本的にはハッピーエンドではあるが……なかなかどうして一筋縄ではいかない内容だ。

本編を追った人なら、買って損はしないだろうと思う。

まとめ

とにかくハードで、読者によっては「推しが死んだ……」なんてこともあっただろうが、個人的には大満足な一作だった。あるキャラクターの過去話なんて、なんで彼はこんな目に合わなきゃいけないの……と強く心を揺さぶられた。

まあごちゃごちゃと感想を述べはしたが、結局のところ、遊佐浩二がCVしていそうな糸目・腹黒キャラに萌えるタイプの人種は、まず間違いなく嵌まるだろう(実際、ドラマCDは遊佐浩二が声を当てたらしい)。ちなみに私は私で、凍るような冷たい視線を送るヒロインのことも好きにならずにはいられないところなのであった。

殺し愛 (1) (MFコミックス ジーンシリーズ)

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  • 作者:Fe
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