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【漫画】秘めた恋心の行く先は『どうも、好きな人に惚れ薬を依頼された魔女です。』(既刊4巻)の感想

六つ花えいこ原作、釜田著『どうも、好きな人に惚れ薬を依頼された魔女です。』(全既刊4巻)を紹介/レビュー。

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紹介/感想

すれ違い系ラブコメが好き? ならば読むが良い――

本作は、深くローブを被った可愛らしさを持つ"湖の善き魔女"・ロゼが主人公の、ファンタジー・ラブコメディ。

そのな彼女が、4年前のある出来事から密かに想いを寄せていた王宮騎士・ハリージュ様が、突然ロゼの住む庵にやってきて「惚れ薬」を注文するところから物語は始まる。

一瞬にして失恋をしてしまったと思い込むロゼ。しかし、ハリージュ様はなぜかロゼの家を度々訪れ、食事の面倒なども見てくれるようになる。「惚れ薬」が繋ぐ二人の関係が、可愛らしくももどかしく、読んでいると「もう~!」と悶えたくなる展開が満載だ。

漫画的にも、甘く美しい描写もあれば、喉元にナイフが突きつけられたかのような緊張感を覚えるシーンもあり、クオリティが非常に高く感じた一作だ。

キャラクターの描かれ方が上手い

※以下、ネタバレ注意です※

主人公のロゼは、人々から恐れられる魔女として、人と関わらない生活をしている。そのため、心に蓋を閉じてしまっているような、悲しく冷たいような印象を覚える瞬間も多い。片思いの相手であるハリージュ様が来たときには、恋心が悟られないようにと冷たく突き放すことも。

そんな、底のしれない彼女の雰囲気が、美味しいパンを前にしてキュルンと可愛くなったり、ハリージュ様に迫られて甘くなったり、かと思ったらハリージュ様が来ているのに読書に没頭してしまったりと、ころころと変わっていく様が非常に愛らしくて応援したくなるキャラクターとして描かれている。


ハリージュ様の方も、ただイケメンでロゼを誑かしている風ではなく、根っからの人の良さと真面目さと誠実さが感じられるように描写される。それなのに、惚れ薬を飲んでしまったロゼを前にしてあんなふうな態度を見せるのだから……もう、男なのに「キャー!」と黄色い声をあげたくなるほどだ。

その他にも、糸目で東方から来てる感がすごいくせに「父親代わり」なんて属性持ちの商人ティエンはかなり心くすぐられるキャラだし、王女様も可憐で美麗だし。登場人物の数は少ないものの、どれも印象に残るキャラクターとなっている。

まとめ

既刊4巻で、ちょうど原作小説1巻分のストーリーとなっているらしく、サクッと読めて区切りもついて満足できる。甘々なハリージュ様はかっこいいし、主人公のロゼはもうなにかと可愛いし、男性女性問わずに楽しめるような漫画に仕上がっているのではないだろうか。

第四巻で大きな進展を迎えた二人の関係が、このあとどうなっていくのか、まだまだ見ものだ。