ぷにちゃん原作、文月マロ漫画『しあわせ食堂の異世界ご飯』を紹介/レビュー。
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紹介/感想
異世界で食堂を営む物語は数多くあるが、本作はその中でもとにかく「温かみのある雰囲気」と「良質なラブコメ」が摂取できる作品。色々と文字通り『しあわせ食堂』が舞台の作品だ。
主人公は小国の王女。隣国の皇帝陛下の嫁候補として、自身とその騎士であり侍女となる少女のたった二人だけで祖国を出ていくところから物語は始まる。
いくらなんでも他国へ嫁ぐ話だからといって、王女様なのにそんな扱いなの!?と少し驚くポイントだ。
嫁ぎ先の皇帝陛下はどうにも評判が悪く、冷酷無比な恐怖の皇帝として恐れられる存在。そして彼こそが、主人公が恋に落ちるお相手。一国の王女と皇帝陛下という、なんとも位の高いキャラクターたちの恋愛模様が描かれる。
実際に物語が進むと、そんな彼らの高貴さは全く感じられなくなってくる。なぜなら、主人公は市井の食堂で働き始めてしまうのだ。
誰も一国の王女が食堂で鍋を振るっているとは思わないだろう。私も思わない。しかもそこにはかの皇帝陛下もわりと頻繁に訪れる。身分を偽ってはいるが、どうやら普通にバレる人にはバレている。本当に大丈夫なの?とこっちが心配になるほどだ。
そんな不思議な二人の関係はとにかくポワポワで可愛らしく、もうさっさとくっついちまえよ!と冷やかしたくなる内容なのだが、なかなかそうにもいかないようで、既刊の範囲では結構やきもきさせられる展開が多い。
特に、中盤の大きなイベントとなるきのこ狩り大会のシーンは、二人の恋路における最初の障壁という感じで、なかなかハラハラとする展開で楽しむことができた。
サブキャラたちも可愛らしく、男性読者としてはやはり侍女騎士シャルルや、主人公の弟子となる少女リズちゃんの二人がとにかく愛らしいキャラクターに仕上がっていた。
料理漫画として、現代日本の食事が異世界で大人気を博しているところも十分に楽しめる。 既刊7巻と、異世界モノのなかでは長寿の域に達しつつある本作。まだまだ主人公たちの恋路も、しあわせ食堂の発展も道半ば。先が気になる作品だ。