soy原作、相良なほ著『悪役令嬢って何をすればいいんだっけ?』(全5巻)を紹介/レビュー。
※電子版のレビュー。紙書籍版は全4巻で、電子版と各巻の収録話数が異なる?と思われるので注意。
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紹介/感想
現世では薬品会社で研究員をしていた主人公。歩きスマホが原因の事故で異世界転生した彼女が転生した先は、ラノベのド定番・乙女ゲームの世界のようだった。そんな、テンプレ!な設定なのだが、彼女はその世界のことをほとんど知らず、どうやら自分が「悪役令嬢らしい」ということしかわからない。
とにかく自分が悪役令嬢で、そのうち追放の危機があるのかもしれないという不安にかられながらも、持ち前の気風の良さで周囲を虜にして破滅エンドも勝手に逃げ出していくサクセスストーリーが味わえるラブコメディだ。
ヒーロー役となる黒髪の青年・ブラウドもまた複雑な事情を抱えているのだが、読者視点ではとにかく有能で優しくカッコいい。そりゃあもうヒーロー間違いなしなのが彼だ。自らを「呪われているから」と主人公・カーディナルへの恋心を押し隠す彼と、自らを「破滅の運命を抱えているから」とブラウドへの恋慕を表に出せない主人公のすれ違いも魅力の一つになっている。
登場人物全員が魅力的で、主人公やブラウド以外にも、きっと読んだ人なりの推しが必ず見つかるだろうなぁと感じるようなさくひんだった。全5巻(紙書籍版は全4巻)でサクッと完結まで読み切ることが出来、誰にでもおすすめしやすい。
主人公の周囲の人々が温かい
令嬢ものでは、どうしても主人公の周りに意地悪な人やムカつく人たちが多数あらわれて、ざまぁ展開のためのストレスを与えてくるパターンも多いのだが、本作の周りの人々は、もうかなり主人公にデレデレ。
もちろん、悪役にあたるような人も出てきて、イラッとくるようなシーンもあるのだが、それ以上に主人公・カーディナル自身の強さと、家族・友人の温かさで全然気にならない。安心感たっぷりに仕上がっている。
個人的には、特に主人公の親友であり、本来のゲーム主人公ポジションであるラブラがとても良い子で応援したくなるキャラクターだった。
王子様と割とすぐいい感じになってしまうのだが、もっと主人公の周りでブラウドを焚き付けながらワーワー言っていてほしかったとも思ったが……これはすこし求め過ぎかもしれない(笑)
まとめ
悪役令嬢にならないように努力したり、悪役令嬢になろうと努力したりする作品もあるが、悪役令嬢になるかもしれないと不安に思いながらも、精一杯今を全力で生きる、そんな本作も楽しい作品だった。
サクッと読み切ることが出来る漫画をお探しの方には是非オススメだ。