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【漫画】最弱薬師は最強冒険者と並び歩む『Eランクの薬師』(既刊7巻)の感想

雪兎 ざっく原作、鳴海 マイカ著『Eランクの薬師』(既刊7巻)を紹介/レビュー。

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紹介/感想

Eランクで最弱とされる薬師の主人公・キャルが、勇者パーティー(自称)から追放を受けるところから始まる、追放成り上がり系作品。追放の直後、運命の出会いを果たしたSランク冒険者・カイドとの旅路、二人の恋、そして彼ら二人の前に立ちはだかる苦難が描かれる物語だ。

物語の冒頭では、キャルが勇者を名乗るグランにパーティー勧誘を受けるところが描写されるのだが、よくある追放系よりも、「なぜ主人公は酷い仕打ちを受けていても耐えてきたのか」というのが納得できるギミックとなっていて納得感のある始まり方をしたのが印象的だった。

始まり方や、ランクの影響で、どうしても悲惨に見えてしまう主人公。そして、この可哀想だというところは、後に令嬢・リリーへと受け継がれるのだが、彼女たちには理解者と芯の強さがあり、へこたれすぎることなく前を向いて進んでいくため、勇気づけられるシーンも多い。

既刊範囲ではキャルとカイドの出会い、危険な薬"マムシ"の調査、亡き両親の過去の追跡という3つの章が描かれる。原作小説は全3巻で完結しており、漫画の方も間もなく完結が近いのかもしれない。読み始めるなら今だ!(宣伝)

以下、ネタバレ注意です。

マムシ編はビビるくらい怖かった

個人的には、マムシ編はかなりメンタルに来るくらい恐ろしい描写があった。なにがというと、医術師局長の老師・スラガとその弟子・ママリだ。

まず最初は、ママリの豹変。それまでひっそりと影を潜めていた彼女が急に主人公に攻撃的になるシーンで、心臓が飛び跳ねた。そして、その後のスラガ先生でさらに鼓動は早まる。

あんなに人畜無害そうな感じで、カイドたちからも尊敬されていそうな雰囲気だった彼があそこまで変わってしまうのは衝撃的で、ちょっと読み進めるのが辛くなるほどだった。

その後、ママリが主人公と仲良くなれるような展開があってなんとか助かった。

まとめ

先述の自称勇者やら、スラガやら、王宮筆頭魔法使いのオーレリアン初登場時やら、結構「ムキーッ!」っと思ってしまうシーンも多いのだが、そこをキャルのひたむきさとカイドの包容力で中和して読み進めさせてくれる一作だった。

キャルが薬のことを語りながらコロコロと表情を変えるところなんかを見て、カイドはこういうところにも惚れてるんだろうなぁ、なんて親目線で見てしまう。

キャルの両親の過去も明らかになり、これから立ちはだかるピンチをどう切り抜けるかというドキドキのシーンで最新刊は終わっているため、早く続きが読みたいものだ。