ささざめブログ

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【漫画】追放されたので魔王軍に就職します!『元公爵令嬢の就職@COMIC』(既刊6巻)の感想

 みたらし団子原作、森野眠子漫画『元公爵令嬢の就職@COMIC』を紹介/レビュー。

紹介/感想

 昨日の『ハズレポーション――』に続き、こちらもまた料理系漫画。だけれど、これもまたちょっと異色な漫画に仕上がっている。

 主人公は、とにかく健気な少女。所謂「悪役令嬢」モノよろしく、公爵令嬢にも関わらず問答無用で国から追放されてしまい、もう生を諦めきった先で行き着いたのが、恐ろしいと思っていた魔族の地。

 しかし、この魔族の地というのが、どうみても現代日本としか思えないほどに高度に発達した国。技術も公共サービスも食事も、なにもかもレベルが高い。しかも戦闘力まで高いと来たもので、こんなの戦闘になったら人間たちに勝ち目がないだろうと思わせられるのだが、なんと人までいいのがこの世界の魔族。(とはいえ、色々と設定がこのあとも出てくるだろうが)

 主人公も、命を取られるかと思った魔族の女性に助けられ、そのまま彼女と一緒に住むほどにまで至る。そこからは、主人公がもともと持っていた料理の鬼才も駆使して、周囲と打ち解けて幸せになっていく……。

 かに思われたのだが、意外にもこの作品はそこからまたハードな方向へと舵を切っていく。絵も、出てくるキャラクターたちもとにかく可愛らしいのに、意外と物語がシリアスだ。

 

 国を追放された主人公を溺愛していたり信頼していたりしていた貴族たちや宰相などが奔走し、逆に追放した側の者たちも、主人公が生きていると知り憤慨し、そして黒幕が暗躍し……いや、可愛いキャラクターがほわほわ料理するだけじゃないんかい!とツッコミたくなる内容なのだが、なかなか読ませられるシナリオだ。

 

 そんなシリアスな面はさておき、漫画としてはやはり、主人公が料理をするシーンがとにかく可愛く楽しい。魔法を駆使して、食器やら料理器具やら、果てには食材までが自由自在に動き出し、勝手に料理ができあがっていく様はなかなか見ることが出来ない光景だろう。特に、卵がひとりでに並び、勝手にボウルの中に割られていくシーンでは笑ってしまうほどだった。

 この先も、もっと不思議でわくわくする料理シーンが見られればよいなと思うばかりだ。