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【漫画】お国のために嫌われます『雇われ悪役令嬢は国外追放をご所望です!』(全3巻)の感想

織江よいこ著『雇われ悪役令嬢は国外追放をご所望です!』を紹介/レビュー。

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紹介/感想

悪役令嬢になるには転生したり死に戻りしたりが必要だと思いこんでいないだろうか?
もう一つの選択肢、それがこの「雇われ悪役令嬢」だ。

主人公は貴族ではない商家の娘。海外貿易の許可を得るという褒美のため、「悪役令嬢」を演じて社交界を荒らし、現王政への不満を低減させることを目的とする物語。
流石にこの設定は見たことがないな、と感嘆。それと同時に、いや、ほんとに上手くいきますか?という疑問も生まれるのだが、まあなんとかなるのでとりあえず読み進めてほしい。


自ら悪役令嬢を目指すタイプの物語と言うと、『歴史に残る悪女になるぞ』のような作品も思い当たるが、あちらは悪女の素振りを見せる前に有能っぷりが出すぎてしまっていた(この作品もメチャクチャ面白くてオススメ)。

一方こちらはというと、主人公がきっちり悪女を演じきる。皮肉や悪口を社交界で振りまき、他の貴族たちから恐れられる存在へと進化していく。

特に、敵対する本物の悪役令嬢から呼ばれたパーティーで自らの体を傷つけてまで悪役令嬢らしい矜持を保たんとする姿には、かなり心揺さぶられる思いであった。


主人公を愛することになる王子ももちろん可愛らしいのだが、やはり本作のMVPは、主人公の令嬢教育係をつとめ、その後悪役令嬢の被害者を演じることとなるアレン(アリス)だろう。

彼は彼で女装して社交界に乗り込んでいるという、こっちもイカれたことをしているわけだが、なぜだかさも当然のような感じで慣れ親しんでいて面白い。そして可愛い。目覚めてしまうよ。


全3巻。雇われ悪役令嬢は果たして国外追放の目的を達成することが出来るのか。是非本編で読んでもらいたい。
それはさておきアリスとメイドの異母姉弟話も読んでみたかったと涙を流した私であった。