ささざめブログ

さめざめと語ります。日記、エッセイ、短編、感想、その他。

【漫画】追放令嬢と大罪人の逃避行『雪と墨』(著:うの花みゆき/既刊3巻)の感想

うの花みゆき著『雪と墨』を紹介/レビュー。

(購入はこちらから)

紹介/感想

大商家を継ぐはずだったのに追放された令嬢と、50人の村人殺しという大罪を背負った青年、二人の愛の逃避行を描く、苦くも甘いラブストーリー。

絶望を背負った二人が出会い、恋に落ちるところまでが第一話で一気に描かれる。そこからは、主人公二人の「変わらない過去と分からない未来1」の物語。
既刊3巻までの範囲では、ヒーロー役となる青年・ネネオの心にある深い傷、そして50人殺しの大罪の真実が明かされ、それをどうやって克服し、ヒロイン・フレイヤが受け止めるのかが描かれる。

もう第一話以降、完全にべた惚れ状態で、二人の絆が固く結ばれた状態のため、どんな苦難も乗り越えていけるのだろうという予感を抱かせてくれる。一方で、そんな二人にも乗り越えられるかわからないような苦難が、今後もぶつけられていくのだろうという予測もでき、読者としては、「甘々な二人の関係」と「辛く苦しい展開」を交互に味わわされることとなるだろう。


個人的には、当て馬のような役目となってしまう、フレイヤの元婚約者・ハルバード(ハル)がとても好きなので、彼自身の幸せをつかみ取ってほしい。

とはいえ、惚れた女の幸せを願って行動し続ける彼の姿もまたかっこよく、表現され続けてほしいもので……読者としてはわがままが尽きないところだ。


第三巻では、フレイヤが実家に帰り、姉・アンナとの対峙の開幕までが描かれている。アンナもまた、拗れた心情と関係をもっており、ここから大きな波乱が待ち受けていること間違いなしだ。

第四巻は2024年2月20日発売予定。要チェックの一作だ。

余談:まったく同名の漫画

本作とまったく同名のタイトルを持つ、Maritaさん著『雪と墨』という漫画が存在するので、ややこしいというか、間違わないよう注意が必要だ。

ここまで、完全一致のタイトルかぶりというのはあまり見たことがないので、関連作品なのかと勘違いしてびっくりした。

Maritaさん版はKADOKAWAから、うの花みゆきさん版は講談社からの出版のようだが、二社間での問題などはないのだろうか?なんて邪推してしまうところだ。
まあ、映画界では全く同じタイトルの映画なんてのは結構あって(日本ではたいてい、邦題が被らないように変えられてしまうけれど)、上映年で見分けたりするものなので、別に区分さえできれば問題ないだろうとは思うのだが。

なお、Maritaさん版の『雪と墨』は転生者とタイムトラベラーの物語らしい。
BLっぽい雰囲気だが、中身はなかなか面白そうなので、機会があればこちらも読んでみたいものだ。

(更新後追記)
この記事を読んだパートナーから教えてもらったのだが、「雪と墨」というのは「物事が正反対であること」を表すことわざなんだそうだ。元々ある言葉なんであれば、タイトル被りも致し方なしといったところだろう。納得だった。


  1. 第二巻の発売予告の文言。かっこよかったので引用。