ささざめブログ

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【漫画】『高度に発達した医学は魔法と区別がつかない』(第6巻)の感想

津田彷徨原作、瀧下信英著『高度に発達した医学は魔法と区別がつかない』(第6巻)を紹介/レビュー。

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前巻までの感想

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紹介/感想

異世界転移した現代の医師が、魔法もチートもなしの、「医学」の力で異世界を生き延び、世界を変えていく医療ファンタジー作品。医療監修もしっかりついており、ファンタジー世界でありながらも硬派な医療漫画のようにも楽しめる、異色かつ高評価な一作です。

第5巻ラスト、大司教エクレス組の活躍が描かれ、改めてタイトル回収の見開きがドカンと与えられ、ここから物語が躍動していくのだろうかというところから続いた第6巻。今巻も怒涛の1巻でした!

まずは冒頭。新たに登場した夜の国の第一王女でありその正体は「吸血鬼」だというクロエが登場。お人形さんみたいな可愛い雰囲気なのに、目力が圧倒的に強くドキッとさせられる姿がとにかくグッときつつも、話は医療へ。

ここでは、太陽に呪われたという吸血鬼のある症状を解決するため、食の改善へと働きかけます。グルメ漫画みたいになってきたな!と思いつつも、「医食同源」とも言いますからね。重要な解決方法なのでしょう。こうやって、食で、しかも無理やりな変更ではなく、あくまで相手の文化や事情を尊重しながらもその中でできる策をとっているところは、この漫画の懐の深さを味わわせてくれる部分でした。

このエピソードの後、おそらく描き下ろしだと思いますが、タコスを食べて転びそうになる夜の国兵士が可愛いので必見です(笑)


23話冒頭では、クロエに付いていた仮面の男ラドゥと竜族の女王リンドブルムとの静かな対立が。二人共、圧倒的強者の雰囲気を漂わせていて、バトルしているわけでもないのに緊張感がヒシヒシと伝わってくるシーンとなっています。

そんな中で、主人公・ユイトを守ってくれている可愛いスライムであり古老とも呼ばれるエルが、どうやら本当にとんでもない大物らしいというのが分かってきます。今巻はこのあともエルの大活躍があるので、必見です!

その後、描写はエクレス組の方にも映っていきます(登場人物が多くて、ちょっと追いきれなくなってきた!)。なんだかゴールデンカムイを読んでいるような気分になるのも束の間、エルフの国が大襲撃を受け、バトル展開がスタートします。


多数の思惑が渦巻く襲撃で、新たにダークエルフ一派も登場するなど、もうなにがなんだかわからないというのが正直なところですが、混乱している間にユイトが負傷してしまいます。

一番弟子・コロネがとうとう、自ら手術を行うことになります。医療漫画としては、そこまで特殊な手技ではないのかもしれないですが、異世界の住人でありこの間までただの奴隷であった獣人が、とうとう医師として巣立つ瞬間なのかとおもうと感慨深い場面です。

そんな医療シーンが挟まり、ああそういえばこれ医療マンガなんだったと思いなおすのも束の間、さらなる緊迫感のある展開も入り、いよいよ物語がどこに向かっていくのかわからなくなってきたというところで第6巻は終了。次巻に続くのでした。

まとめ

相変わらずの漫画力で牽引しつつも、確かな医療描写と、ハードすぎる世界観が楽しめる一冊でした。

ただ、登場人物が多く、それぞれの原動力が違ったりまだ明かされていなかったりして、正直ちょっとどれが誰だか追いきれないところもあったりするので、過去の巻から続けて読まないとちょっと大変かもなと感じている部分も。他陣営の話も魅力的だけれど、主人公組の描写をもっとみたいというジレンマが(笑)

個人的には、もふもふのキマイラとぽわぽわのエルの活躍が見られて大満足な6巻でした。続きが楽しみです!