あらゐけいいち著『雨宮さん』(第2巻)を紹介/レビュー。 ちなみに読みは「あめみやさん」です。
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紹介
『日常』『CITY』で大好評を博し、最近ではイラスト業でもそこかしこに目にする稀代の天才(と、わたしが個人的に思っている)あらゐけいいち先生の最新作、『雨宮さん』の第二巻が2024/04/12発売でしたので、早速読んできました!
ちなみに雨宮さんは、YouTubeにあらゐ先生本人が投稿されたオリジナルアニメーションから始まった作品で、不思議世界観と軽快なテンポ、音・アニメーション・ストーリー全部で楽しませてくれます。
漫画版では、その軽快さは引き継ぎつつ、より濃厚で凝縮された世界観を深く味わうことができます。もしアニメーションを見てビビッと来た方は是非一読してみては!
今巻の感想
今巻も、前回と同様、一体この世界はどういう仕組で動いているんだという不思議さが溢れながら、沢山の「好き」が紹介されていくような内容。
でも、読み進めていくと、雨宮さんの性格を形作った原因であろう「お姉ちゃん」との過去エピソードや、その後のエピソードなども登場して、謎に包まれる世界が少しだけ明らかになってきます。
しかもそこで描かれる内容が、ただ可愛い/気持ちいい話というわけではなく、結構深い内容でなかなか私の心にもグサッと突き刺さってくる内容でした。ただ好きを追い求めるという作品の根幹への自問自答のようにも思えます。
他にも、創作に挑戦する雨宮さんのエピソードも登場。創作に関わったことのある人なら誰しもが共感できるようなお話で、これはもうあらゐけいいち先生のエッセイなのではないかと疑ってしまいたくなってきますw
もちろんいつものように、とにかく好きと可愛いが詰まった作品も多数あり、大満足の一冊でした!
特に好きだった話
17 不死鳥の如くチャック
4P漫画。これは単行本用に描き下ろし?(連載版を読んでいないので、間違っていたらごめんなさい!)
漫画なのに、音が聞こえてきて、アニメーションが動いているような感覚になる一作。凄い。
砂糖と塩を間違えるという描写を、擬音で表現しちゃうの、巧すぎる。
19 おねーちゃん
雨宮さんの感性の元であろう人、おねーちゃんが登場。そりゃ憧れちゃうわ!というカッコよさ。
雨宮さんってめちゃくちゃ素敵な人ですが、根っからそういう人だという話でなく、誰かに影響を受けて後天的に今の性格が形作られたんだというのがわかるエピソードは、感情移入しやすくなる内容でとても良かったです。
20 鉄壁の防御
雨宮さんと、学友のホーランドロップさんのバトル(?)回。
これ、もうほぼ日常じゃない?w 最高でしたw
24 コロッセオ
こいつらはいったいどこで何をやっているんだという困惑はさておき、あまりの勢いに釣られて楽しくなってしまった一作。
いややっぱりなにしてんだこいつらw
25 ニセ雨宮さん 前中後編
作画コストが尋常じゃなさそうな感じの空間で、雨宮さんとニセ雨宮さんの対面という王道展開が。
緊張感のある展開も登場。というか、カマドクロの殺意がすごい。そこからの雨宮さん怒涛の反撃がたまらない。タヌキも可愛い。
26 現実と幻影
さっき登場したおねーちゃんが再登場。ずっと憧れていた人が「自分が作り出した幻影に替わってしまった…」というところは寂しさがありつつ共感もしました。
そのあとのセリフには、雨宮さんらしい心の機微が見えてとても好き。
27 芽吹き 前中後編
産みの苦しみを味わう雨宮さんの回。読んでるだけで心拍があがるような絶望感が伝わってくる。
別の人が描いた作品みるところとか、絶妙なクオリティで、心から「なんとかしないと…‼️」ってなる。
まとめ
とにかくあらゐ先生ワールドが濃縮還元100%でお届けされている感じのある『雨宮さん』。今巻も楽しませていただきました。
続きはまた2年くらいかかるのかな? 今から既に待ち遠しいですね!