ささざめブログ

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【漫画】交錯する名前と想い『異世界で姉に名前を奪われました』(既刊3巻)の感想

琴子原作、NiKrome著『異世界で姉に名前を奪われました』(既刊3巻)を紹介/レビュー。

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紹介/感想

不思議な鏡で、異世界の王子・セシルと仲睦まじく交流していた主人公の一花。その姉、華恋がある日失踪し一年が経過したころ、一花は異世界へと転移してしまう。そこにいたのは、自分の名前「イチカ」を名乗る華恋と、かつて語り合った王子セシルだった。

セシルに近づくため、「イチカ」の名を騙った華恋と、名を奪われたせいで「カレン」という名を名乗ることになる一花。そして、イチカの婚約者となっていた優しい笑顔が魅力的な第一王子セシルと、カレンの婚約者となる第一印象最悪ツンデレ系黒髪第二王子ノア。本作は、そんな4人の想いが交錯する恋愛ファンタジー作品だ。

キャラクターは個性的で、漫画も美麗で、話も非常に面白かった。もう、とにかく何の情報も入れずに3巻まで読み切ってほしい! それ以上は言わない! 言えない!


絵柄の美麗さに反して、世界観的にもキャラクター観的にもかなりシビア。特にノアの第一印象なんかはもう最悪で、あんなにカッコいいのに! 主人公は早くセシルとくっついちゃえ!なんて思ったくらいだ(まあ逆に後のギャップでやられるわけですが……)。

姉・華恋もどうしても悪役のポジションとなってしまい、もう読んでいるだけで「なによこいつ!」とムキーッと思ってしまうようなキャラなのだが、彼女なりの苦悩も描かれる優しさも溢れている。

そして王子二人があまりにも尊い。王妃様は怖い。主人公は可愛いけど芯があってかっこいい。そんな魅力的なキャラも多い一作だった。

必見の3巻ラストまで突き抜けろ

中盤から、物語は徐々にある違和感を植え付け始める。推理するのが得意な読者は、おそらく早々に「もしかしてこれって…」と勘づくだろうが、そんなもしかしてが大きく確信に変わるのが第三巻。

そして、なによりも第三巻ラストのあのページ。あまりにも尊く、漫画表現としても最高クラスの素晴らしさなのだ。

何を言ってもネタバレになってしまうので、詳しく書けないのが悩ましいが、もうとにかく読んでみてくれとしかいいようがない。鳥が!鳥さんが!

まとめ

ネタバレ配慮でなんとも中身のない記事となってしまったが、とりあえず漫画としての面白さは保証したい。

「異世界」というワードで拒否反応を覚える読者層も多いだろうが、恋愛漫画が好きな方ならとにかくまず第三巻まで、読んでほしい。そんな一作だった。