ささざめブログ

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【考察】フェイクドキュメンタリー「Q」『Q2:5 怪談 - Passengers』

YouTubeにて配信されている大人気ホラーモキュメンタリー、フェイクドキュメンタリー「Q」の最新作シーズン2第5話『怪談 - Passengers』を考察する。

今作も相変わらずのハイクオリティでたまらない作品だった。正味23分と、フィルムインフェルノ(37分)、ノーフィクション(25分)に次ぐ長編であり、満足度も非常に高い! 扱っているテーマも普遍的で、このシリーズを初めてみるという人にもおすすめ出来る一作である。

 

youtu.be

 

以下、ネタバレを含む考察であるため、未見の方は要注意。

登場人物

主な登場人物は計3名。

 

前野さん(元タクシー運転手・怪談家):本作のメイン。カメラで映るのは基本的に彼だけ。立派な口ひげが印象的だが、過去のDVD映像の際はさっぱりとしたビジュアル。

井沢さん(ディレクター):雑誌付録のDVD映像を撮った際のディレクター。雑誌社の人間? おぎやはぎの小木さんを彷彿とさせるような飄々としたしゃべり口が気になる。

※追記:ネットで感想などを見ていると、この井沢さんを演じているのは、人気ホラードキュメンタリーシリーズNOTFOUNDの古賀さんではないかという声が。そう言われると確かに、古賀さんっぽいしゃべり方な気もする。そうすると、嘘っぽいしゃべり方が本気な気もしてきてしまう……。記事中散々「しらじらしい」とかなんとか書いちゃいましたが……w

 

インタビュアー:前野さんを取材する、この動画自体のインタビュアー。彼の目的は不明。

 

なお、シナリオ的には一切登場しないが、インタビュー中は、運転手が別に存在していると思われる。インタビュアー(カメラマン)も前野さんも運転していないことが明らかなため。

 

シナリオの流れ

動画の流れは大きく3つに分けられる。

①前野さんによる怪談話。

②井沢さんと撮影したDVDの映像(2009年8月24日発行)。前野さんは「嘘」の場所をディレクターに伝えたというが…

③前野さんとインタビュアーが、②の撮影地を訪れる。しかしついた先の風景は思いもよらないもので…

 

全体の流れとしては、嘘の怪談をディレクターに話したら、じゃあ実際に行ってみましょう!となってしまって、嘘のロケ地を教えた前野さん。ディレクターも、VTRを面白くするために嘘の仕掛けをするが、本当の怪異に出くわしてしまった。という話で終わったと見せかけて、実は最初の怪談も本当だったのでは?と思わせて動画は終了する。

動画最後のセリフで、まさに、「狐につままれたよう」な心境になる。何が嘘で何が真実だったのか、その境界を意識的に不明にしているのだと思う。

 

時系列に沿って整理

時系列に沿って、何が起きたかを整理する。一部、推測を含む。

1. 前野さんタクシー運転手時代:前野さんは「本当はなにも起きていない」と思っている。例の怪談は怪談家になるための作り話だったというが、実は事実だった可能性がある?(記憶が改ざんされている?)

2. 前野さん怪談家として活動:例の怪談を、色々なイベントで話す。その中で雑誌社ディレクターと知り合った?その山にいってみないかという話になる。

3. 付録DVD撮影:前野さんは嘘のロケ地を教える、ディレクターの井沢さんの口ぶりなどから、おそらく彼はそのロケ地で事前に「仕掛け」をしていたが、最後の車の件については知らなかった?

4. 雑誌発行(2009年8月24日):無事に発刊されたことから、前野さんもディレクターも無事だったと思われる(その後なにかあったかどうかは不明だが)

5. 現代:怪談のなかの人物のように、口頭で行先を伝える前野さん。DVD撮影場所の森にいったつもりが、墓地に来てしまった。前野さんは驚愕の表情を浮かべている。 怪談の出来事が嘘ではなく事実であったということか? インタビュアーの最後のセリフ「前野さんってなんでタクシーの運転手やめたんでしたっけ?」で映像は終了する。

 

断片的な謎たち

怪談の内容は嘘か本当か

雑誌に載ったという怪談を説明する前野さん

雑誌のズーム。特に気になることは書かれていない

雑誌の内容を読み取れるかぎり読み取ってみると、以下のようなことが書いてある。(※)は指に隠れて読み取れなかったところ。

現世の苦しみを背負う悪霊たちの逝き場所
現役タクシー運転手が語る!実録怪談 DVD連動
深夜の女性客が告げた目的地とは!?

東京でタクシー運転手(※)る前野。彼が実際に(※)不思議な話。
ある日の夜10時(※)都内で一人の女性客を(※)20代くらいで髪の長い(※)先を訪ねると「口頭で(※)から」と告げた。
前野さんは「目的地が近いのかな」と思ったそうだ。しかし向かった場所は乗車した位置から40キロくらい離れた場所であったという。結局2時間近くかかったそうだ。
その場所は、人気のない山道で近くに家なんか一つもない。
一応「ここでいいんですか?」って聞いたが、女性は「はい」と答えてお金を払って降りて行った。

これと言ってめぼしい情報は書かれていない。

 

次に、前野さんが実際に語る怪談だ。途中でるテロップも記載する。赤字にしたのは、特に気になった部分。

夜10時くらいですかね
女性が1人乗っていたんですね
20代くらいですかね、まだ若い女性だったんですけど
行先を尋ねるじゃないですか、そしたらあの、「私が説明するんで、そこに向かってください」っていうわけですね
大体そういうお客さんってその、近場だったりするんで、そんなにまあ近い所かなと思いながらはしりだしたら
結局でも40キロくらいは走ったと思うんですよ。2時間くらいは運転してたんじゃないですかね。
どんどん山の方っていうか、家とか人気がない所にどんどん向かっていくんですね
目的地についたんですけど、何にもない所なんで、「ほんとにここでいいですか?」と聞くと、女性が「はい」って

テロップ:「女性客の目的地は郊外の山中」

それから、同じようなことが何回か続いたんですよ
1ヶ月か2ヶ月に一人くらいなんですけど、
結局口頭で行先を言いますっていうお客さんが、たぶん7~8人くらいは乗せたんじゃないですかね

テロップ:「同じ目的地で降りる乗客」

自殺の名所とかかなと思ったんです。
運転手さんや知り合いに聞いたり、ネットで調べたりしたんですけど、そういう話は出てこなかったんですよね
50代くらいの男性がまた乗ってきて、また口頭で説明して、またおんなじ方へ向かっていったんですよ
さすがに気になって、「そこなにかあるんですか?」って聞いちゃったんですよね
そしたらその人が「死んだ母親から連絡がきたんです」って言うんですよね
「えっ?」ってなって、だって意味わからないじゃないですか
そんときに気になってミラーでちらっと男性の方を見たら、男性は一人で乗ってきてたのに、横に何かいるんですよ。黒い影みたいなの

テロップ:「後部座席に黒い影」

向かったんですけど、やっぱりおんなじ場所なんですよね
僕があそこに運んだ人たちって、なんか、理由はわかんないですけど、この世にいないんじゃないかなっていう感じはしましたね。

先ほどの記事の内容とも、大きく齟齬はないように見える。記事では女の話のみだったが、こちらではその他にも同じ乗客が複数いたことが語られる。

まず最初に気になったのは、目的地の距離だ。雑誌の記載から、彼は東京都内のタクシー運転手である。そんなかれが2時間運転して向かった山。その距離を40キロくらいと表現するが、距離感覚があっているだろうか。

https://www.yukisoft.co.jp/taxi-fare/index.php

試しに、タクシー料金試算サイトで距離を見てみると、東京駅から富士山までがおよそ135km、所要時間は132分となっている。およそ2時間も走らせたらこれくらい遠くまでこれるということだろう。

もちろん、実際にはもっと時間がかかるだろうし、山道をずっと走ったということであれば多少理解はするものの、やはり都内から走り出して2時間40kmというのはおかしい気がしてしまう。(私は東京に縁がないため、このあたりの感覚はあまり自信がない)

次に実際に、送っていた人の数と期間だが、1~2ヶ月に1人で計7~8人ということは、およそ1年はこの現象が起きていたということになる。果たして1年も、その場所のことを調べずにいるだろうか?という単純な疑問が沸く。

ミラーでみたら「黒い影」がいた、という話は、かなり「作り物臭」のする話だ。それまでそんな話はしていなかったのに、「死んだ母親から~」というのを聞いた途端に見えるというのもなんとも創作らしい感じがする。

やはり、彼の話自体は、どうにも創作の雰囲気がする。それどころか、「彼は本当にタクシー運転手だったのか?」という疑問すら生じる。

動画中(DVD映像も含めて)、彼が実際に車を運転するシーンは、ない。

 

DVD映像はヤラセか真実か

前野さんもインタビュー内でいう通り、基本的にはディレクターによるやらせが行われていると推測する。

いかにも白々しい「なんか空気違いますよ」「この森があの世と繋がってるなんて、そんなことあるんすかねぇ?」というようなセリフや、ビニールひもを見つけて「行ってみましょうか」というような提案とか、「あれ、懐中電灯つかない、ほら」みたいな言葉の言い回しがどうも胡散臭い。彼の生来のものなのかもしれないが。

ただ、後ろからだれかついてきてる気がする、という話をしているときはやや真剣みを感じるため、そこは想定外なのかもしれない。

ビニールひもの終着点にある枝の人形やたくさんの衣服。このあたりも、ディレクターはやけに冷静に聞こえるため、仕込みなのかとも思うが、それにしては手が込んでいるなとも思う。

特に、衣服のところなんかは、過去作フィルムインフェルノを強く思わせるような雰囲気だ。

また、このシーンでは、他では流れていなかった「虫の鳴き声にも聞こえる甲高いノイズ」がずっと聞こえている。このノイズはメモを読むシーンで最も大きくなり、その後何者かの登場で電気を消して暗視カメラ映像になると、聞こえなくなる。

ちなみにメモの内容は以下の通り。(出来る限り原文ママで写しました)

これいじょうは

はたせない

さいねん寺の

ハカイされた

死がきた

 

きのう見た

カゲが

ついてくる

もう

 

あそこに

つれていかな

いで

最後は縦読みすると「あつい」が隠されてるな…なんて思ったがまあそんなのはどうでもいいとして、これと言って追加の意味や、違った読み方ができるかどうかは微妙なところだった。

このメモが仕込みだったかどうかも、微妙なところだ。意味が不明すぎるし。

一部気になったワードとしては「さいねん寺」。西念寺というお寺は、全国各地に点在しているようだ。検索して一番に出てくるのは新宿にあるお寺。服部半蔵が開いたもの。しかし、関連性はあまりなさそうだろうか。

www.yotsuya-sainenji.or.jp

 

Wikipediaには「西念」という平安時代の僧侶の話が載っている。

目録などによれば、11世紀末期(康和年間[2])から40年間にわたって写経・造仏・読経・僧供などを行った後、保延6年3月3日(1140年3月23日)に出家、同年4月9日(同4月27日)に供養目録を携えて四天王寺西門近くの海にて入水自殺を図るも失敗する。このため、康治元年3月17日(1142年4月14日)に自宅に墓穴を掘り、同年6月21日(同7月15日)に極楽願往生歌48首を詠んだとされるが、その後は不明。

ja.wikipedia.org

なんとも闇の深い僧だ。自宅に墓穴を掘り、というところから、まさかあの脱がれた服の人たちは土の下に…?という発想が出来なくもない。

その次のワード「ハカイ」というのも、「破壊」ではなく、「破戒」だろうという推測ができる。戒律を破る、という意味だ。やはりなにか、仏教の教えなどに関連するメモか……?

そのほか、「きのうみたカゲ」も気になる。そういえば、前野さんの怪談では乗客の横に黒い影が見えたと言っていたが…。ほかにもなにか隠された意味がありそうだが…。真相には私には到底たどり着けそうもない。

 

その後、竹(墓標?)が刺さっているところを見つけ、何かをたたく音が聞こえ、光が見えて逃げ出す。このあたりの流れも、前野さんは真剣に「なんですかこれ?」といぶかし気だったり、不安そうだったり、ディレクターから電気を消せと言われた時の呆けたような表情もかなりリアルな一方で、ディレクター側の声がどうにも白々しい。電気を消せといった理由もよくわからないし。

ただ、帰り道、電気を消しているのになぜ前野さんは山道を歩けたのか、というのは疑問だが。

最後の車を見つけたシーンでも、ディレクターの「ん?」という言葉に対して振り返る前野さんの表情は非常に自然だ。

そしてそのあとの、後部座席に誰かのってる!というところは、それまでの白々しさから一転して、真剣そうなディレクターの声が聞こえる。(なんども見ているとここも嘘っぽい気がしてくるが……w)

 

やはり、どこからどこまでほんとか嘘かがわからない。非常に絶妙なセクションだ。

その後の「ディレクターは生気がなくなった顔をして、ずっとおびえていた」というのは前野さんの談であるため、そこもほんとかどうかは定かではない。

 

個人的には、総括して、まず大前提やはりディレクターのやらせがあったであろうと思う。ビニールひもを追いかけた先になにか仕掛けている、というのは事前に知っていた情報で、その後合図を出して追いかけるから逃げてください、というところまでが元々のシナリオだったのではないかと推測する。

しかし、ビニールひもの先にあったのは本当の異界(インフェルノ?)の入り口のような場所だったのではないだろうか。それを示すのがあのノイズだったのではないかと。

そこに落ちていた遺物や木でできた人形も実は仕掛けられたものではなかったのではないだろうか。ディレクターの井沢は、それがあくまで仕掛けられたものだとおもっているから、あまり気に留めていなかったのではないかと思った。(彼は仕掛けの内容はあまり知らなかった可能性がある)

その後電気を消すと同時になぜか脱出することが出来たと思われたが、何かしらは「憑いて」しまった、というような顛末だろうかと想像した。

 

ただ、もう一つ考えられるのは、「最後の部分もフェイクである」ということ。つまり、異界にいってしまった部分だけは偶然撮れたもので、それ以外は(最後の車の件も含めて)フェイクだったということだ。

井沢は、この雑誌を盛り上げるために一芝居うち朝までぶるぶると震えた、あるいは前野もグルになって、そのような話に作り上げたということだ。

 

最後についた場所はなんだったのか

現代のインタビューで向かった先は、DVD映像の森ではなく、墓地となっていた。あそこはいったい何だったのか。

DVD映像の道中

現代のインタビュー映像の道中

画角が違うためやや異なる見た目だが、同じ道で間違いなさそうだ。(余談だが、冬と夏で分けて撮影しているのが分かる。やはり手間が相当かかっているコンテンツだ……)

この画像からもわかる通り、彼の怪談では家や人気がない所に…と言っていたわりには、電線も通っていて人の営みは感じられる雰囲気だ。

直後、背景に映る家屋

やはり怪談が嘘だったのだろうか、というのが感じられるカットだ。

 

そしてもう一つ意味ありげなカット。

どう見てもあやしい三角コーンと黄色テープ

このあたりですね、という前野さんの奥に、どう考えても狙って配置したと思われる三角コーンと黄色テープ。怪談のなかの乗客、そして前回のDVD撮影のときと同じように誘導したはずだが、違う道をえらんでしまったということなのか。

その後、たどり着いたのは大きな墓地。

広大な霊園が広がる。素晴らしいロケーション。

圧巻の景色。おそらく東京都青梅市にある大多摩霊園だろうか。

大多摩霊園公式HPより

途中までの道のりはDVD映像と同じだったと仮定して、ついた場所が異なった理由として考えられるのは次の2つ。

①途中の分岐を間違えているだけ(三角コーンの場所)

②前回は途中から既に異界に繋がってしまっていた

夢があるのは②だが果たして。

 

なんでタクシーの運転手やめたんでしたっけ?

最後のインタビュアーのセリフ。「前野さんってなんでタクシーの運転手やめたんでしたっけ?」についても謎が多い。

インタビュアーの彼はなぜこのタイミングでこの質問をしたのか。そして、そもそもこの映像は何の目的で撮影しているのかが全く分からないのだ。

 

「なぜ前野さんはタクシーの運転手をやめたのか」については、作中では明らかにされていない。なんとなく怪談家としての活動をするようになって、タクシーの運転手はやめたという流れなのかとも思うが、彼自身、怪談家の活動として世にでたのは、「あの雑誌の一本くらいだ」と明言している。

ということは、怪談で稼げるようになったわけではないのだろう。では一体どうして。

やはりここで一番に考えつくのは、「なにか嫌な出来事があったからやめた」ということ。そしてその嫌な出来事というのが、あの「怪談」のことだ。

あの、自分では作り話だとしていた話が、実は「事実」で、彼はその体験を恐れてタクシー運転手を辞めたのだが、その後なぜか怪談家として、その体験談を「怪談」として世に広めようとした。という筋書きなのではないだろうか。

映像の最後。クローズアップされる口ひげ。

映像の最後に映し出される口ひげ。つけ髭のようにも見えていたそれを間近で見せることで、「嘘じゃない、本当だ」ということをアピールしている?という指摘はYouTubeコメントで多く見られた。私も、そのような意図があるカットだと感じる。

一方で、墓地を見つめる彼の目は、驚愕にあふれているように見える。彼の心において、彼がインタビューで語ったことに偽りはない。つまり、彼の中ではやはり「怪談は嘘」「DVDでの体験は本当」なのではないかと思った。

 

もろもろ含めて、私なりのインタビューの意図を探ると、以下の2つが思いつく。

①あなたは怪談といってすべて嘘をしゃべっていますよね?という糾弾をしている(心霊現象を否定するためにインタビュー)

②あなたが作り話だとおもっている怪談は実は本当ではないですか?という過去を顧みることを促す質問(怪談の真実やあのDVDに映っていた場所へ近づきたいためのインタビュー)

やはり、Qシリーズ的には②の線で考えたい。「思い出してください。あなたが乗客を連れて行った場所を」という思いが現れたセリフが「前野さんってなんでタクシーの運転手やめたんでしたっけ?」だったのではないだろうか。

 

インタビューで前野さんの声にかかるノイズ

これについては、なにも確信めいたものはないのだが、インタビュー中の前野さんの発言には定期的にノイズ、というか音割れのようなものが発生する。単純に音量、ゲインの問題なのか、意図して発生しているのかが不明だ。

例えば、本編1:20あたりで、怪談を話している際、女性のセリフ「私が説明するのでそこに向かってください」のところ以降は断続的に発生するし、20:43の現地に向かう箇所「あそこの看板のところですね」も同じ状態になっている。

 

私的な考察のまとめ

以下、本作の考察をまとめる。ただし、フェイクドキュメンタリー「Q」というシリーズは様々なとらえ方を出来る余地を残して作られている作品だと思っている。私としても、これから書くことはあくまで考えられる結論のうちの1つだとおもうので、ご留意いただきたい。

・前野は、タクシー運転手として働く中で、乗客たちを乗せて「例の場所(DVD撮影で行った場所)」へ行っていた → 前野は異界(インフェルノ)への運び人だった

・前野は、なぜか自分のその体験を作り話だと思い込んでおり、怪談家としてその話を披露していた→この世ならざるものの意思が働いて、異界により多くの人を運ばせようという狙いがあった?

・前野は、井沢に嘘の場所を教えたと思っていたが、実はそこは本当に異界とつながる場所だった(実際に乗客を連れて行っていた場所だった)

・井沢は、作品を盛り上げるためにいくつかの仕掛けをしていたが、その仕掛けの内容については把握していなかった可能性がある。

・前野と井沢は、異界の入り口にまでたどり着いたが、なぜか逃げ出すことが出来た→井沢については、なんらかの攻撃を受けた?前野は運び人だから見逃されている?

・前野は、異界の入り口にインタビュアーを連れていけなかった→既に運び人としての役割を終えている?

・このインタビューの目的は、異界のことを知ろうとする人間が、過去に運び人として関わりのあった前野さんに近づいて、その記憶を呼び起こそうとしている?

 

なにか、納得のいく内容はあっただろうか。「異界」なんてワードが出てくると、ちょっと寒いなという感じが自分でもするのだが、一つ自分なりには筋の通った説明になるだろうかと思える。

 

次回の作品も非常に楽しみだ。