ささざめブログ

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【漫画】料理を科学するあったかメシ漫画『ヤンキー君と科学ごはん』(既刊3巻)の感想

岡叶著『ヤンキー君と科学ごはん』(既刊3巻)を紹介/レビュー。

(購入はこちらから)

紹介/感想

サンシャイン池崎のギャラクシーチャンネルというYouTubeチャンネルがあり、度々元気をもらうために見ているのだが、その中の人気企画にまんが飯再現というのがある。昔から人気のあるコンテンツであるが、池崎さんの漫画愛と良くも悪くも「普通」な料理レベルがちょうどよく、楽しく見れる動画だ。

そんな中で、気になった作品がこの『ヤンキー君と化学ごはん』だ。初めて聞いたそのタイトル。『ヤンキー君とメガネちゃん』の派生作品?とも思ったがどうやら違いそうだ。それに、「科学ごはん」というのが何なのかどうにも気になった。

(実際の池崎チャンネルでの動画)
youtu.be

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さて、実際に読んでみると、これがなかなか良作だ。飯漫画としてもとても有意義で、真似してみたくなる良さもあるし、キャラクターがとても素晴らしく物語としても非常に楽しめる一作だ。

金髪ヤンキーくんと相対するキャラクターといえば、真面目・熱血なキャラクターになりそうなものだが対になるのが「やさぐれダウナー系眼鏡化学教師」だったり。たいてい嫌~なポジションが与えられてる「教頭先生」が、めちゃくちゃ良い先生だったりと、あえてテンプレ的な設定を外して楽しませてくれるしストレスが少ないそのストーリテリングは非常に現代的な漫画となっている。

マンガのテーマとしても、ごく一般的な家庭料理を「科学ごはん(科学的に美味しさや調理法を研究した料理のこと)」という視点でとらえなおすような形になっていて、グルメ漫画にありがちな聞いたこともないような食材や調理器具、再現が不可能そうな料理なんてのは全く出てこない。ヤンキー君・千秋と同じように、その日の献立からさっそく挑戦することもできそうな内容が描かれている。

とにかくカワイイキャラクターたち

主人公は化学教師・猫村蘭と、金髪ヤンキー君・犬飼千秋の二人。蘭はダウナーな雰囲気のある先生ながら、教師らしく千秋を心配するところや、化学教師としての知識など先生としてのかっこよさが十分にあふれるキャラクター。既刊3巻の範囲ではまだ明確にはなっていないが、悲しい過去を抱えて良そうな悲哀も心がくすぐられる。

千秋の方も、腕っぷしの強いヤンキーなタイプながら、双子の弟と妹(この二人も個性的でめっちゃ可愛い)を一人で面倒を見ている苦労人。その愛し愛されっぷりから、ほんとは良い奴なんだなというのが一発でわかるし、最初はウッとなっても、すぐ可愛い奴だと認識できるはず。

先述の通り、教頭先生が厳しくもめちゃくちゃ良い先生なのも良いし、他の先生たちも良い。なぜか彼らは、ヤンキー生徒を更生させるタイプの教師につよい憧れがあり、千秋の面倒を見ている蘭をうらやましく思っているのだ。なんとも新しいし、それぞれのエピソードが見たくなるほどキャラクターが立っている。

同級生たちの多くは、まだ千秋のことを怖がっている様子ではあるが、物語的に登場したやつらはどれも、一癖二癖あるやつらだ。第三巻では友人関係も築き上げられ、読んでいる方も一安心といったところ。まだまだ彼らの活躍も、新たなキャラクターも楽しみなところだ。

まとめ

まだ既刊3巻までしか出ておらず、これからどんどん盛り上がっていっていくのではないかと予想される作品だ。

物語・漫画表現・料理、どれもクオリティの高い作品なので、新時代の料理マンガを引っ張っていってほしいものだ。ぜひおすすめな一作である。