ささざめブログ

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【漫画】どこへ行ってもお役に立ちます『転生少女の履歴書(全3巻)』の感想

唐澤和希 原作、藤本れもち 漫画、『転生少女の履歴書』を読んだので、感想・レビューを書きます。

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紹介・感想

現代で愛されなかった主人公が、異世界転生した先で家族から愛を注がれて英雄になっていく、なんて話はよくありますが、その逆に、転生先でひどい扱いを受けてしまうというケースもままあります。

本作は後者のタイプ。現世でトラック事故に巻き込まれるというテンプレから産み落とされた先は、ガリガリ村なんていうふざけた名前の、寒々しい農村。男ばかりの家庭の唯一の女子として生まれた主人公は、将来の働き手として期待できないからと親から愛情が注がれない。

そんな環境で生き残るべく、現代知識で農耕改善して一目置かれて……なんて展開もありつつあっさり親に売り飛ばされるところから物語がスタート。あまりにもひどい!

そんなスタートなもんだから、主人公の性格も相当ひねくれもの。というか、全体的に登場人物の心情がどこか一本ネジが外れている感じで、何が起こるかわからない怖さのある作品でした。


というわけで、物語序章は、買い取られた貴族家での奉公の話。わがままな子息のお付きのメイドのようになった主人公が気に入られていくという、展開としてはよくあるものですが、その間もずっと主人公の頭には影がちらついていて、簡単にハッピーな方向には踏み出さない。

しかも、この話の次の展開が衝撃的なんですよ。一度わかりあった家族との別れ、そこから更にとある事件で完全に新天地にいくことになるんですが、正直この展開は「え、それでいいの!?」とビックリしちゃいました。

詳しくはもう読んでみてほしいので伏せますが、特に主人公の受容の展開には衝撃を受けたのでした。


かなり歪な道のりを歩みながらも、物語は最終的に学園編に進んでいきます。

原作小説はなんと第13巻まで続いている大作なんですが、漫画は全3巻で完結ということで、行ってしまえば打ち切り的な終わり方ではあります。それにかなり中途半端なタイミングで終わりを迎えてしまうため、残念であるのは否めないです。

ただ、複雑に絡み合う心情が描く群像劇的と、魔法至上主義社会という舞台で描かれる独特の世界観という、作品根幹の魅力は提示されたコミカライズだったんではないかと思います。

個人的には、もうちょっとなんか可愛らしいヤツがいたら良かったな、とも思うんですがね……(笑) わりとずっと殺伐としてるので、体力のいる作品かもしれません。

まとめ

読んでいる最中は、主人公を含めて、人々の言動に違和感を覚えることの多い作品だったんですが、最終的にはこの作品特有の世界観が深堀りされていった結果として表出した言動なんだなと、腑に落ちた作品でした。

漫画としては道半ばで物語は終わってしまうので、漫画単体としては正直オススメしにくいです。ただ、シリーズの入口として、この世界の入口を覗くのにはちょうどいい仕上がりなんではないかと思います。そんな目的でぜひ読んでみては。