狭山ひびき原作、南乃映月漫画『王太子に婚約破棄されたので、もうバカのふりはやめようと思います』を紹介/レビュー。
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紹介/感想
今日もまた新たな婚約破棄物語を読んでしまった……。
今日読んだこの作品は、「婚約者からバカのフリをしろを言われて生きてきたのに、お前がバカだからと婚約破棄された」という、理不尽すぎる始まりでスタートする。
色々とバリエーションの多い婚約破棄もののなかでも、一捻り効いていて記憶に残る導入だ。
もちろん、例に漏れずこの主人公令嬢に非常に聡明。才色兼備な主人公なわけだが、そんな彼女は婚約破棄されたその場で弟殿下から求婚される。 ここのスピード感は、物語の導入として完璧に機能していて、素晴らしいと感じるポイントだった。1話だけでこのあと起きていく人間ドラマが一気に形作られる。物書きの視点で見ていて、うまいなぁと関心したポイントだった。
漫画として、各キャラクターの魅力が最大限に描かれているためか、どのキャラクターも非常に魅力的に見える。中でも、婚約破棄を行うという嫌な役回りを与えられる兄殿下と、その新たな相手を務めるお転婆ガールな婚約者の2人も、憎めないキャラクターに仕上がっているのだ。
原作未読であるため、4巻以降の展開はまだ知らないのだが、ぜひこの2人にも幸せが待っていてほしいと感じさせられる。
他にも、漫画の中でこれまたなかなかの存在感を放つ、主人公侍女や、喰えないキャラで底のしれないのに可愛らしい一面をもつ王様、それからそれから元は密偵だったという眼鏡補佐官など、魅力的なキャラクターはたくさんで読んでいて飽きさせない魅力があった。
物語の筋としても、本当は有能であった主人公の実力を認めてくれる人々が多数いる中で、弟殿下からの深い愛情をそそがれる主人公を見ていると、自然と応援したくなってくる。いやもうくっついちゃえよ!という声が1巻からすでに飛び出るほどであった。
第3巻では、そんな彼女たちに大きな試練が降りかかる。間違いなく、この漫画の山場の一つだろう。ぜひここまで読んでほしい……と言いつつ、3巻ラストは更に引きを残して終わるため、早く続きが見たいと思っている現在だ。
バカなふりをしていた有能令嬢の恋路の行く末はどうなっていくのか。まだまだ先が楽しみな一作だった。