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紹介・感想
いつか読もう読もうと思いつつ、事前に少しだけ知っていたその内容の恐ろしさから、なかなか手が出ずにいた、押切蓮介作『ミスミソウ』。一念発起し、とうとう読んでしまいました。
閉鎖敵田舎。陰湿ないじめ。復讐。よくあるテーマだけれども、そのテーマで、描けるところまで全力で、全力で描ききったというような作品。
なんでそこまでしなきゃいけないの!と言いたくなるくらいひどい、憎悪が溢れ出る前半パート。もう読んでいて、胸が苦しくなるなんてもんじゃありませんでした。「きつい」の一言。
それに対する後半の復讐パートは一転して、降りしきる雪。真っ白な世界で、相手の叫び声以外の音がなにも聞こえないかのような描写が素晴らしかったですね。
そんでもって終盤の展開でまた唖然。……いったい押切蓮介先生の脳内はどうなっているんだと言いたくなるような内容に仰天。清野とおる先生やら水上悟志先生の話に出てくる先生とのギャップが……いや、冷静に考えたらそうでもないかも。
とにかく、圧倒的「怒り」を原動力に感じる一冊でした。
ただ単に悲惨で痛々しいという感じではなくて、各登場人物それぞれが抱いているどうしようもない暗い面があって、それが舞台となった街のせいなのか、あるいは外部からやってきた主人公という刺激のせいなのか、無限に増幅されていってしまったということなのかなと。
電子で配信されている完全版1~6冊ですが、内容的には1冊あたり100ページ程度と、実質普通の単行本2~3冊分程度なのであっさり読めちゃいます。
いや、読み味はまったくあっさりじゃないんですけどね。もうどろどろです。