ささざめブログ

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【映画】完成度の高さを再確認!やっぱり怖い『着信アリ (2004)』

 携帯から流れる死の着信メロディ。その恐怖は今見ても健在だった!

 

 リング、呪怨と続いたJホラー大ヒット作に続くように公開された『着信アリ』。もはや20年近く前の作品ですね。

 公開当時、私は10歳頃。おそらく、公開からしばらくしてテレビ放映などされたものを見たのではないかと思うが、子供ながらに本編を見てかなり恐怖したような記憶がある。更に、当時、この着メロを実際に自分の携帯に設定しているような大人もいたと思うが、自分の回りの誰かもこのメロディを使用していて、鳴るたびにビクッと震えていた。

 

 当時、この作品に大恐怖していた私も、すっかり大人になり、ホラー作品も笑いながら鑑賞するほどになった。そこで今、改めてこの作品を見ると、なにか発見があるのではないかと思ったのだ。

 

かなり豪華な出演陣

 まずは出演陣の豪華さから目につく。主演の柴咲コウに、バディ的存在の堤真一、友人役の吹石一恵松重豊と、今でも人気の名優が目を引く。

 やはり、ホラーも映画自体もまだ人気のあった頃で、予算があったというのがまず感じられた。現代ホラー映画では、アイドルなどが出演していることがかなり多いが、そういった姿も見られない。秋元康原作であるのに、そういう汚さみたいなのが出てないのは好感が持てる。

 ホラー映画に定番ではあるが、やはり主演が美人で画面が映える。眼力が強く、一見強い女に見える柴咲コウでも、怪異にやられてしまうところで、怪異がより強く見えるようにしているかもしれない。

 

改めて見ると、かなり面白いホラーだった

 物語はまず、突然の死からスタートする。状況説明やキャラクター説明なども軽めに、早速人が死ぬ。着信が死につながるというルールが明かされるが、思いの外犠牲者は少ない。ただ徐々に主人公たちに死が近づいていくという流れが感じられて秀逸だった。

 吹石一恵が次のターゲットに選ばれ、それを聞きつけたTV取材陣が絡んでくる。TV放送で除霊しましょうよ!という流れは絶対なにか面白いことが起きるぞというワクワク感。でも、この時点でなんの解決策も持っていない柴咲コウが、TVなんてやめなよ!と引き止めるのは理にかなってないしちょっと鬱陶しい。ホラーのキャラクターらしいといえばそうなのだけどw

 そして中盤から登場する堤真一。ここから一気に、単なるホラーから、ホラー・サスペンスに変化していく。この電話の呪いがどこから始まっているのかを調査していく。この時点で、私としてはかなり驚いていた。ただ怖いシーンが連続するだけの映画だと思っていたので、かなり引き込まれている。

 吹石一恵の除霊。もちろん期待通りの展開が繰り広げられる。でも、ゴア表現を抑えつつ、凄惨さをしっかりと演出されている。素晴らしい。吹き飛ばされる霊能力者はちょっと滑稽だったが。

 そして終盤、病院のシーンもかなり良く出来てる。ロケーションも完璧。この怪異、かなりめっちゃくちゃ殺意高いし、対象を目の前にして「お前の命、あと◯秒」なんてテキスト予告までしちゃうし、かなりテンションが高いのだ。この幼稚さを感じる演出にはちょっと笑ってしまったのだが、これも実は真相の伏線に繋がっているかもしれない。

 

 最後、時計の針が巻き戻る演出で、かなり鮮明に子供の頃の記憶が蘇った。ここめっちゃ怖かったところだ。ドアののぞき穴から針がズバン!とくるのが超絶衝撃的だった。今見てもコレは怖い。いやでもちょっとバカバカしいけれどもw

 急に物理攻撃しかけてくるの、ほんと汚い。

 

 エンディング。爽やかな映像に恐ろしさを残しつつ、余韻を感じさせるフィニッシュ。上手い!

 

 現代では、着信アリはホラー映画界でも軽視されがちな存在に感じる。しかし、改めて評価してみると、映像的にもシナリオ的にもかなり品質が高い作品に感じた。欠損表現などはあるものの、直接的な断面の表現などは抑えめで、大衆にも見せられるような配慮をしつつ、最大限に恐怖を演出出来ているのではないかと感じた。

 この後続編も出るのだが、おそらくこの第一作を超えてはいないだろう。そう感じるような傑作の一つだった。