2019年公開。宮岡太郎監督作、『恐怖人形』を紹介/レビュー。
紹介/感想
インパクトのありすぎる劇中カットで、度々話題に上がる一作。
ある日突然届いたパーティーの案内状。10万円贈呈という言葉に乗せられ集められた一行が、謎の日本人形の恐怖に陥れられるホラー映画。
一見、昔ながらの「呪いの日本人形」による恐怖がもたらされる和製ホラーなのかと見せかけて……という、大きな裏切り(事前に知っていると別に裏切りというわけではないのだが笑)で楽しまされる一作。
正直に言ってしまえば、所謂B級スラッシャーホラーといったところなのだが、ゴア表現は優しめ。ただ、内容的には往年の名作ホラーへのリスペクトもたっぷり感じさせられるシーンも満載で、ホラー初心者でも上級者でも楽しめる部分が多そうな作品という印象。
もちろん、最大の魅力はスラッシャー役となる日本人形の跳梁跋扈の大活躍!なのだが、個人的にはややそういう大暴れのシーンが足りないようにも感じられ楽しさと同時に物足りなさを感じられた部分でもあった。
若手俳優陣のフレッシュな演技が目に付くが、キャラクター的なひねりが効いているところもあったりして、楽しめる部分は存外に多い。特に、石川瑠華演じるまどかと、黒羽麻璃央演じる涼太はなかなかの曲者で愛せるキャラクターに仕上がっている。
また、ベテラン俳優陣の、黒沢あすか、粟根まこと、そして萩原聖人の3人もなかなかの存在感をもたらしており、各シーンをぐっと引き締めてくれていた(粟根まこと氏のキャラクターはちょっとアレだったが…笑)
癖になる黒羽麻璃央
立ちションじゃねぇだろうなぁ?
俺は剣道初段だー!
などと、記憶に残るセリフを残した黒羽麻璃央。
峯田和伸的な風貌でいながら、かなりのイケメンであることが見受けられ、チャラチャラとしたすぐ死にそうなキャラクターだったのだが、かなり活躍の場が与えられていた。
なぜか立ちションに以上にこだわりを見せたり、人形に対する竹刀での連撃が見れたり。絶望して主人公に迫るシーンなんかも気持ち悪さが上手く表現されていてナイスだ。
なんなら彼が主人公と言っても良いかもしれないくらいだったので、最後はもう少し活躍してみじめなところを見たかったところだが……。
まとめ
真剣に見てしまうと、ナンダコリャと我に返ってしまうこともありそうだが、気楽に見れば笑えるし意外な驚きもあって楽しい作品だった。
こういうバカバカしさが感じられるようなホラーを真剣に撮っている作品がもっと増えてほしい今日このごろだ。
結局のところ、チェンソー持って走り回ってるデッカイ日本人形の画だけで、この映画にはもうはなまる満点なのである。