ささざめブログ

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【映画】最恐マスクが忍び寄るレジェンドスラッシャーホラー『スクリーム (1996)』

1996年公開。スクリーム(原題:SCREAM)を紹介。

あらすじ

田舎町のウッズボローで、高校生のカップルが惨殺される事件が起きた。クラスメイトだったシドニーは、1年前に母を殺された記憶を呼び起こされていら立つ。そんな時、彼女はハロウィンマスクの殺人犯に襲われた。間一髪、恋人のビリーに救われるが…。

引用元:スクリーム - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画

 

紹介

圧倒的な大ヒットをして、2023年現在、第六作まで公開されているロングセラー映画。13日の金曜日やハロウィンに代表されるスラッシャー映画の一角としてもしられる作品で、その白いマスクのゴーストフェイスは世界的な恐怖のアイコンとして名をはせた。

私も幼少期から、映画を見たことがなくてもゴーストフェイスの仮面が非常に怖かった記憶がある。ただ、今見ると、その造形(ムンクの叫びがもとになっているらしい)はやや滑稽さも兼ね備えていて、本作のコメディ性にも強く関与するところだった。

 

映画全体的に、「ホラー映画」そのものを扱う場面が多く、自己言及的でメタ表現が見受けられる映画だ。まだこの時点では、それほどの効果を持っているわけではないのだが、以降の作品に影響を与えているポイントではないかと思われる。

 

以下は、ネタバレを含む感想を述べる。未見の方はご注意されたし。

見どころは?

まず最初の冒頭10分間。このスクリームシリーズの開幕にふさわしい、伝説的な恐怖シーンから始まる。この冒頭部分は好きなシーンランキングを作るならTOP3に入れたくなるくらい素晴らしい。演じるドリュー・バリモアは、当時すでに大スターであり。主演級の彼女が冒頭で殺されるというところのインパクトも狙った演出らしい。(ネットで見た情報では、彼女自身の提案でそうなったらしい)

このシーンがあるからこそ、ゴーストフェイスの猟奇性・異常さがありありと感じられていて、なおかつ、「圧倒的な強さ」を持つ相手ではないことが示されている。

 

序盤のこのシーンを終えて、ようやく本編がスタートする。主人公のシドニーやその周りを固める友人たちも、テンプレ的でありながら素晴らしい配役である。彼氏役のスキート・ウールリッチは圧倒的美貌とその雰囲気がたまらないし、金髪ブロンド美女役のローズ・マッゴーワンの最後なんてもう必見中の必見だ。

 

度々映し出されるゴーストフェイスの「弱さ」も本作の魅力だろう。中身が中身なので、理にかなっているのだが、初見だとなんか普通に弱くね?と困惑するくらいの弱さである。それが顔の造形も相まって愛らしく感じてくる。攻撃方法も基本ナイフでめった刺ししかないだけに余計に。

 

そしてまた最高なのが、終盤。ゴーストフェイスの正体が明かされるところからだ。

 

正体がわかってからがさらにすごい

こういうホラーでは、怪人的なものの正体がわかってしまうと、興ざめしてしまうパターンが度々ある。ただ、本作ではそれが全くない。

言ってしまえば、この犯人は主人公の彼ビリーと、友人のスチュアートの二人である。この事実自体は、冒頭からやけに雰囲気のある二人だっただけに納得なのだが、彼らの猟奇性がどんどん明らかになっていくところが大好きだ。

 

特に、やはり誰しもが脳裏に刻まれたであろうシーンが、お互いにナイフで自分を刺しあうシーン。事件の偽装のためなのだが、互いに文句を言い合いながら、ふざけているみたいにナイフを突き刺しあう。ビリーのミステリアスさと、スチュアートのひょうきんさはどちらもジャンルの違う狂気であり、圧倒されるシーンだ。

(余談だが、スチュアートを演じるマシュー・リラードは後に大人気コメディ スクービードゥでも主役を演じる。非常に魅力的な俳優だ)

 

最後には、嫌われ者な雰囲気のTVキャスター(フレンズのモニカ役で有名なコートニーコックスが演じている)が決めるのも、エンタメ的に面白いポイントだ。しかも続編以降でも彼女は普通に出てくる。

 

 

本作の主人公シドニーは、以降のシリーズでも引き続き登場し続ける。そんな彼女の鮮烈なデビューとなったこの第一作は、やはりレジェンドムービーだ。何度でも見返したくなる良作である。