2021年公開。映画『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』を紹介・レビュー。
あらすじ
音を立てた瞬間に“何か”に殺される世界を何とか生き延びた一家。夫が殺され、家をなくしてしまった一家は赤ん坊と幼い子供2人を連れて、安全な場所を探すことに。しかし、荒廃した外は想像を絶する世界と化していた…。
紹介
前作クワイエット・プレイスが、低予算ながら空前絶後の大ヒットを博し、期待の中で制作された第二作。前作の「音を立てたら死ぬ」という極限のポストアポカリプスなシチュエーションの中で、慎ましくも懸命に生き延びた家族のその後が描かれる。
冒頭には、前作でも描かれなかった、このアポカリプスの「最初の日」が描かれる。この場面では、前作で活躍した父の姿も健在だ。
冒頭シーンが終わると、舞台は一転して、前作ラストシーンの直後からストーリーが再開。今までは怯え逃げるばかりだった怪物への対抗手段を手に入れた家族たちが、思い出の家から脱出し、新たな世界に足を踏み入れていく光景が見られる。
以下はネタバレあり感想です。ご注意ください!
冒頭シーンがナイス
先述の通り、映画冒頭では、平和な日常からモンスターパニックへの急転直下が楽しめるのだが、このシーンがかなり良い。前作を見ていた観客なら、かなり楽しめるのではないかと思う。
特にグッとくるのは、やはり前作で無念のラストを遂げた父が活躍する姿を見られるところだ。この後の本編では、母の言動にハテナが浮かんだりする場面もあるだけに、この父がとても魅力的でかっこよく見えてしまう。
また、隕石のようなものが空に見えてからの緊張感、車にのっているところのシーンも、ハラハラドキドキのアクションだった。
静寂の緊張感
本作最大の特徴は、音を立ててはいけないというシチュエーションが生み出す、圧倒的な緊張感だ。どのシーンを見ていても、初めてホラー映画を見たときのように鼓動が早まってしまうほどだと感じる。
ただ、前作と比較すると、モンスターへの対抗手段を手に入れている分、やや緩和されている印象も受ける。アメリカン映画らしいというか、ご都合主義的で、なんとかなっちゃいすぎな感じは否めなかった。
家族の言動には疑問が
正直に言うと、主人公家族たちの言動には、疑問や疑念がつきまとってしまう。
まず大前提として、この極限状態で赤ん坊を作った前作の流れがイカレてはいるのだが、本作ではそんな赤ん坊を、ある種「盾にして」、再開した知人の男性を利用するような言動をとる。
母親と娘のそんな言動は、やや不快なところだ。あまりにも自分勝手過ぎる。まあまだ娘の方は、「皆を助ける」という目的で動いているからマシなのかもしれないが、それでも自分勝手過ぎるだろう。
トラブルを巻き起こす息子のほうも、映画ラストでこそ成長した姿を見せるのだが、それまでの行動がアホすぎる。これは、制作側/シナリオの都合でこんな動きを捺せられているのだろうから、なんだか逆に可哀想になってくる。それくらい違和感のある動きを見せる。
まとめ
家族だけの物語だった前作から、新たな生存者も登場し、世界の広がりを見せた本作。なんとなく、ドラマ版ウォーキング・デッドシリーズのような様相を呈し始めているような気もする。
ちなみに、現在PART3も制作中で、2025年公開予定なんていう情報も。
違和感のあるキャラクター造はあるものの、シンプルな設定ながら、緊張感を維持する作風は変わらず魅力的な作品。前作を楽しんだ方は冒頭シーンだけでも見てみてはいかがだろうか。