2019年公開。映画『クロール ー凶暴領域ー(原題: Crawl)』を紹介。
あらすじ
大学の競泳選手のヘイリーは、巨大ハリケーンが故郷のフロリダを襲い父と連絡が取れなくなっていることを知り、実家に捜しにもどる。
地下で重症の父を発見するが、自分も何モノかによって地下室に引きずり込まれ、右足に重傷を負ってしまう。
そこは、ワニ地獄と化していたのだ! 窮地に立たされた二人の運命は!?
紹介
クロール。自由形、最速の泳法として知られる言葉だが、原語としてはもう一つの意味がある。「這いずる」という意味だ。そんな言葉がピッタリあう生物。最強の捕食者の一角を担うそれこそが「ワニ」だ。
本作では、そんなワニの恐怖をバッチリと描いた、まさにモンスターワニワニパニックムービーである。近年、モンスターパニックムービーのお株はすっかりサメ映画が持って行ってしまっているが、実はワニ映画も隠れた人気がある。
このジャンルの映画にありがちなことではあるが、もう色々とツッコミどころは満載である。そもそも嵐の中に突っ込んでいくなというところからいいたい。ただ、映画全編として、ワニの緊張感は途切れず、設定もしっかりと活かして最後まで勢いよく描ききる。退屈せずに楽しめた映画だった。気楽に見れる作品で、オススメである。
以下、ネタバレあり感想です。未見の方はご注意ください!
異常な怪物ではなく、あくまで自然な鰐の恐怖が描かれる
ワニ映画で最も有名なのは、おそらく『UMA レイク・プラシッド』という作品だ。こちらでは、超巨大鰐が描かれる。(余談だが、邦題にはUMAと付いているが、実際はUMA未確認生物ではないので批判されてしまうことがある悲しい作品だ)
本作でも同様にワニの恐怖が描かれるのだが、こちらはかなり自然なワニである。突飛さは無いが、そもそもワニという種が持っている強さがしっかりと描かれるため、好感が持てる。
CGもなかなかのクオリティで、かなり本物っぽい仕上がりだ。てらてらすぎてCG感が出すぎているシーンもあるが、個人的にはクオリティはかなり高いと感じた。
ただし、主人公とその父に対しては、攻撃が甘い。本物のワニだったらいまので絶対死んでるだろ!というシーンも多々ある。噛んだあとのローリングはどうした!とか考えてしまいそうになるが、そのアタリには目を瞑るべきかもしれない。
ツッコミどころは満載なので、気楽にみるべき
物語は、ハリケーンの中に車で突っ込んでいくところから始まるのだが、そもそもこの行動が異常である。日本で言う台風とはレベルの違う暴風で多数の死者がでるハリケーンを甘く見すぎだろ!というのをまず思う。まあこのあたりは物語を進めるために仕方ないだろう。
いや今逃げられたよね?その板、もうちょっと頑張ったら剥がせるよね?というシーンもいっぱいあるが、まあ期待通りには動いてくれない。お約束の方向へどれも行く。
このあたりは、イラついてしまう人も多いかもしれない。あまり肩肘張らずに、笑って見るくらいがちょうどいい映画だ。
結局あのワニってなんだったの?
映画では、逃げ出すところまでしか描かれず、あのワニが何だったのかは想像する他ない。あのレベルで巨大化、繁殖をしていると考えると、とても家の地下室だけで育ったとは考えにくいため、やはり映画の中で出てくる通り湖からパイプを伝ってやってきたということではあるのだろう。
映画の舞台となるフロリダにも確かにワニが生息しているということだが、やはりあそこまで凶暴で人を食い荒らすワニというのは、映画なりの脚色である部分が大きい。理由は深く求めない方がベターだと私は思う。
まとめ
映画終盤、とうとう家から脱出した主人公が、クロールで泳ぎきりボートを手に入れたシーンの「私が頂点捕食者よ!(Apex predator all day!)」は、全編の流れも汲んでいてとてもナイスな台詞だった。
バカバカしいけれど、きらりと光る楽しいシーンも満載な映画だ。
ちなみに犬は無事なのだが、犬が犠牲になるバージョンも監督は考えていたらしい。そのバージョンが選ばれていたら、私は低評価を連打しただろう。