ささざめブログ

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【映画】島×VR×怨霊ホラー『忌怪島/きかいじま (2023)』

 2023年公開。映画『忌怪島/きかいじま』を紹介・レビュー。

あらすじ

未だシャーマンが棲む島
その島でVR研究を行う片岡友彦
チーム「シンセカイ」
突然のシステムエラー、突如出現する赤いバグ
シャーマンは語る、
「それは“イマジョ”じゃ…」
交わり始める 異世界 と 現実世界
瞬く間に島を覆う怪奇と死─ 。
“イマジョ”との関係は?
彼らは謎を解き明かし、
生きて島を脱出することができるのか…!

出典:映画『忌怪島/きかいじま』| 大ヒット上映中! 

紹介

 犬鳴村に始まった、恐怖の村シリーズ三部作に次ぐ、新機軸のJホラーが清水崇監督から打ち出された。それが、この『忌怪島/きかいじま』である。

 

 主演を、人気男性アイドルグループなにわ男子の西畑大吾が務め、海の映える奄美大島をメインロケ地、さらにVRというバーチャル世界まで取り込んだ、ホラー入門にもおすすめなサスペンスホラー。

 清水崇監督らしい恐怖表現や、謎を含んだラストなど、ファンにも楽しめるような要素も盛り込まれた作品という印象。ただし、今年同じく公開された『ミンナのウタ』と比べると、批判が多かった印象も受ける。

 バーチャル世界とホラーの組み合わせといえば、真っ先に『リング』が思い出されるくらい、実はホラーとの組み合わせの相性はよい要素だったりする。この部分を果たしてうまく表現できたのか!現在(2023年11月時点)ネットフリックスにて配信中。是非お確かめください!

 

 以下はネタバレあり感想です。ご注意ください!

Jホラー的表現は流石忌怪島/きかいじま (2023)

 清水崇が監督しているだけに、やはりJホラー的表現には流石と思わせられるシーンがいくつかある。とはいえ、やはり恐怖度はかなりマイルドであるため、ホラーファン的にはやや物足りなさもあるのだが。

 個人的に素晴らしいとおもったのは、やはり水と組み合わせたときの表現。ジメジメでおどろおどろしく、まさに身の毛もよだつという思いだった。祈祷部屋で骨壷から水が溢れてきたり、後ろに人影だけが見えてたりするシーンなんかも、グッと来る演出だった。

 

VR要素はうまく機能…した?

 本作最大の特徴は、バーチャルリアリティメタバースを駆使するところ。島全体をマッピングしたVR世界と現実世界という、同じ風景の2つの世界が交わることで、誰かの記憶から過去の景色を復元したり、怪異の動きがよりトリッキーに表現することができた。

 終盤は、そこが現実かVR世界なのかも曖昧に表現することで、より深い世界を表現することにも挑戦している。……のだが、このあたりの仕掛けが、あまり鑑賞者側にうまく伝わらなかったように感じてしまった。

 VR世界はある種、鏡の中世界のようなものだった。現実世界を完全にトレースした結果、現実世界にあったイマジョという呪いを、そのまま映し出す事のできる場になってしまったとも考えられるだろう。

 だからこそ、最後に現実世界の鳥居を倒したり燃やしたりしたところで、どうやら解決にはいたらなかったようだという事だと思った次第だ。(正直、映画だけではかなり描写不足なので、細かい真相が知りたければ小説まで読んだほうがいいのかもしれない)

 

まとめ

 現代風な設定で描かれた、Jホラー入門作で、ビジュアル的にも楽しめるシーンがいくつかあったが、ホラー要素としてはなかなか物足りないと感じた作品だった。

 余談だが、サーバー機らしきものや、PGが乱雑に置かれたラボや、印象的な鳥居を見て、つい最近プレイしたばかりの『Ghostwire: Tokyo』を思い出さされた私だった。プレイ済みの方には是非共感してほしいところだ。

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