もうどう見てもクソ映画の匂いがプンプンするタイトルに思わず手が伸びてしまう時がある。今日はそんな感じでこの映画を見た。『イヌゲーム』だ。
多くの人は気づくだろう。そのネーミングとロゴ。どう見てもイカゲームだ。『タコゲーム』という映画もあるのだが、今回は魚介類から離れてとうとう犬なのだ。これはもう地雷臭しかしないだろう。
しかし、原題を見てみると、"Like Dogs"となっていた。そう、これはあれだ、あまり人気のでなさそうな映画を、日本公開(ディスク販売)時に、配給会社がヘンテコな邦題や既存の有名作の邦題に似せることで、購入・レンタルを水増ししようとする汚いやり口だ!
同じ事例で有名なのは、例えば映画"Collision Earth"だ。この映画は邦題が『アルマゲドン2020』である。ただアルマゲドンっぽいテーマだからという理由で勝手にアルマゲドンのシリーズ作品に似せているのだ。
私自身、この手のやり口については肯定も否定もしていない。日本で売るための手段なのだ。映画を使ってビジネスをする以上、タイトルで工夫するというのは間違った努力ではないと認めている。もちろん、変なタイトルはバカにさせてもらっているが。
さて、話は『イヌゲーム』に戻る。わざわざこんなタイトルにしているということは、おそらくあまり面白くなく、苦肉の策でこのタイトルにしたのだろう。あまり期待の出来ないタイトルだ。しかし、なんとなくそんな作品に手が伸びたのだった。
あらすじは以下の通り。
若い女性リサはある日、道で謎の集団に突然拉致される。目覚めると彼女は首輪でつながれていた、まるでイヌのように…
謎の施設で監禁される中、自分と同じように繋がれた男に出会い2人はそこからの脱走を計画する。
一体、誰が何のためにこんな実験を行っているのか…
イカゲームでは、生き残るために、老若男女がデスゲームに挑戦する様子が描かれたが、こちらはそういった趣旨ではない。拉致された実験施設の目的、そしてそこからの脱出に焦点が当てられている。
ただこのあらすじはあまり意味をなさない。この映画の魅力は、シナリオが二転三転してどこに着地するかわからないところにあるのだ。
あまり多くを語ると、核心のネタバレになってしまうため多くは語らないが、まず最初に観たひとは、「あ、そういうタイプの映画なの?」と驚くだろう。しかもそのタネ明かしは、まだ映画中盤の時点。かなり早い段階で明かされるのだ。
私は、こっからどう展開するんだ?と不安に思ったが、心配は不要だった。物語は全体像を上手くぼやかしたままズンズンと思わぬ突き進み方をして、ワクワクしながら最後を迎えた。そう、楽しんでしまったのだ。
もちろん、映画としてのクオリティははっきり言って低い。お話的にもつじつまが合わないところ、ツッコミたくなるところがいっぱいある。しかし、約1時間半をしっかり楽しんでしまったのだ。クソ映画というほどではないな、と思った。
なんども言いたいが、とても人にオススメしたくなるような映画ではない。しかし、沢山映画を見ていて、B級・C級・Z級なんて映画でも別け隔てなく愛しているような人にはぜひ見てほしい。
サイコパス恋愛ストーリー、ただただ不憫なイケメン、なんともいえない最後の敵、そしてちょっぴりあるゲーム要素(見終わってから考えると、イヌゲームという邦題も案外悪くないかもな、と思えた)。そんな、ちょっと楽しめるポイントが結構ある映画だった。