ささざめブログ

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【映画】最悪の一週間を繰り返す!タイムループコメディ『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない (2022)』

 毎日必死に働く激務の日々。そんなのが毎日続く続いてると、「あれ?先週もこんな感じじゃなかったっけ?」なんて思ってしまうかもしれない。もしそれが、本当に繰り返しているとしたら……。

 そんな、シビアな日常に起きた異常現象。タイムループが起きたオフィスを描く新感覚コメディがこちら。『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』だ。

 2022年公開当時、Twitterの映画好き界隈ではかなり話題に上がっていた作品で、私も見てみたいと思っていた作品だったのだが、この度たまたま宿泊していたホテルのVODの中に入っているのを見つけてオドロキ。即視聴したのだ。(エッチな映像ばかりがVODの良さではないんだなぁということを知った。)

 なお余談だが、VODに入っていたほかの作品。特に洋画は、明らかに酷いラインナップだったので逆に見たくなった。(パチモン映画集のようになっていた)

 話は戻る。本作、当時話題になっていたものの、感想の声の中には、思ったより内容は良くなかった…なんてのも見かけていたので、大丈夫だろうかという不安がかなりあった。結論から言うと、個人的には大満足!不満に思う点はいくつかあったが、それ以上に満足度が勝った。コメディ作としてきっちり笑いどころもありつつ、感動もあり。ぜひ人にもお勧めしたくなる作品だった。

 以下感想をつづる。軽度のネタバレを含むのでご注意を。

 

 本作の特徴はやはり、小さな広告代理店で激務にあえぐ主人公たちに降りかかるタイムループ。毎日毎日残業で、会社泊も上等な環境で起きているタイムループなだけに、登場人物たちもなかなか気づかない、そこが一つ目のフックになっている。

 繰り返しの日々に気づいて、なんとか周りにそのことを伝えようとしても、伝わらない。なんとかあの手この手で納得してもらう、というのが最初のストーリーになる。この流れはもちろん面白さはあるのだが、個人的には少し違和感が強い部分だった。いやもうちょっとやりようがあるだろう、どうにでもなるのでは?と。

 終盤になると、この点は納得させられるシーンがある。タイムループに気づいているのに、周りが気づいてくれない虚しさというのが映し出されるのだ。(この演出があるだけに、主人公を含む気づいてくれない人たちへのヘイトがより高まるのだがw)

 この、タイムループしていることをみんなに理解させるフェーズの終盤。部長にプレゼンをするシーンがまず一つ目の山場。予告でも使用されているこのシーンはやはりインパクバツグン。素直に面白い!やはり、マキタスポーツさんの演技がとても嵌っている。的確に先読みしていく姿は、タイムループもの特有の無双感があって大変よい。

 

 序盤は、この「同僚たちにタイムループを伝える」というのが一つの柱になっているが、中盤から新たな柱が生まれる。ここから展開されるドラマが素晴らしい。ある漫画を用いてそれが表現されるのだが、この演出がかなりぐっときた。ただこれは、好みがわかれる演出だとも思う。なんとなく、鉄拳のパラパラ漫画とかで感動できるかどうか、みたいなのが一つの指針かもしれない。いや全然違うのだけど、なんとなく。

 

 最後は映画として、きっちり気持ちよく終わってくれる。ただし、タイムループそのものの原因みたいなところは(明確には)解明されないので、そういうところが気になる人には向かないかもしれない。

 

 オフィスというワンシチュエーション、限られた小空間のなかで繰り広げられるタイムループ物語。小規模、かつ低予算と思われるが、個人的には大満足の映画だった。普通に感動してしまってちょっと悔しいくらいだ。

 もしどこかで出会ったときにはぜひ鑑賞の候補にひとつ。