ささざめブログ

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【アニメ感想】サマータイムレンダ (2022)

アニメ『サマータイムレンダ (2022)』をイッキ観した感想を書く。

 

・公式あらすじ

「潮が死んだ―――。」

幼馴染・小舟潮の訃報を聞いた網代慎平は、2年ぶりに故郷である和歌山市・日都ヶ島に帰ってきた。家族や友人との再会。滞りなく行われていく葬儀。しかし、親友・菱形窓は「潮の死には不審な点があり、他殺の可能性がある」と慎平に告げる。

翌日、近隣の一家が突如として全員消えてしまう事件が発生。時を同じくして、慎平はある不吉な噂を耳にする。

「自分にそっくりな“影”を見た者は死ぬ。影に殺される――!」

さらに、潮の妹・澪が「お姉ちゃんが亡くなる3日前に影を見た」と言いだして……!?

紀淡海峡に浮かぶ夏の小さな離島で、時をかけるSFサスペンスが、今幕を開ける――!

出典:TVアニメ『サマータイムレンダ』

 

以前から面白い面白いという噂だけは聞いていたのですが、ずっと見ないまま来てしまっていた本作をとうとう鑑賞。

タイムリープもの、という情報と、漫画表紙の金髪スク水の女の子だけ知っていたので、てっきり「タイムリープブコメ」だと思い込んでいたのだが、完全なる間違いだった…

タイムリープドッペルゲンガー、ホラーサスペンス、バトルと、ワクワクする要素全ぶっこみの最高のアニメじゃないか!もっと早く教えてくれよ!と知りもしないだれかに当たりたくなるほどのアニメだった。

 

以下はネタバレ全開でよかったところを語るので未見の方は注意。

 

熱いタイムリープ物語

私の世代で有名なタイムリープものと言えば、「ひぐらしのなく頃に」や「シュタインズゲート」、「リゼロ」などが真っ先に思い浮かぶ。(私はどの作品も大好きだ)

本作も、ひぐらしやリゼロを思い起こさせるような「死に戻り」系のタイムループだ。

タイムリープものは、何が条件でタイムリープするのか、というところが肝になっていたりするがそのあたりは単純明快でキーではない物語。

神社、お祭り、殺戮、などの要素があるためどうしても「ひぐらし」が思い浮かんでしまうところではあるのだが、キャラクターの動かし方が違うため、まったく違った楽しみが出来る。

 

本作のメインは「影」との戦い。影とは所謂ドッペルゲンガーのような、自分と全く同じ姿かたちの存在。主人公たちは互いに協力し合い、この影との戦いに身を落としていく。

誰と戦っているのかが分からないとか、味方の誰も信じることができない、というようなスリル満点サスペンスという雰囲気ではなく、みんなで強大な敵に立ち向かうという姿勢があり非常に「少年漫画的」で見ていてとても楽しい。昂る。

 

何より素晴らしいのは、キャラクターの魅力だろう。特に、メガネで澄ました雰囲気の南雲竜之介(南方ひづる)と老練・老獪で、非常に頼りになる雰囲気の根津銀次郎のコンビは、アニメ史上TOP10に入れたくなるくらいの名コンビ(トリオ)だ。

出典:https://summertime-anime.com/character/

出典:https://summertime-anime.com/character/

 

タイムリープものは、えてして、主人公やキャラクターたちの行動にやきもきすることが多いのだが、この作品はそれがあまりないように感じた。

主人公の癖が「俯瞰する」であるため、彼自身かなり理知的に行動する。その時とれる最善のアクションをする。しかしそれを影が上回ってくるために、より大きなうねりが引き起こされ、魅了される。

 

物語の仕掛けとして用意された、タイムループできる限界がどんどん迫っていくというのも、かなりうまく機能している。タイムリープものはどうしても「死ねばどうにでもなる」となってしまいがちなので、そこに制限を持たせて緊張感を持たせるという手法は素晴らしい(珍しいものではないかもしれないが)。

 

最後まで熱量を保ったまま、非常に満足するところまで観客を連れて行ってくれる作品だった。全25話、ほとんど不満がない。大満足の作品である。

そろそろ夏も終わり。秋が来る前にぜひ楽しんでみてはいかがだろうか。