ささざめブログ

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【ドラマ】勇者ヨシヒコシリーズをイッキ見!気づいたシリーズ毎の違い

 一昨日ごろから今日にかけて、勇者ヨシヒコシリーズを久々に見た。一応過去に見たこと自体はあったのだが、内容をあまり覚えていなかったため、思い出すことも含めて1期から最終シーズンの第3期まで通して鑑賞だ。

 久々に見ると、やはり上質なコメディであり、既に完結宣言が出ていて続編の見込みが薄いのが非常に悔やまれる作品だと感じた。この記事では、今回通して鑑賞する中で気づいたこのコメディドラマの特徴とシリーズ毎の違いをまとめる。

シリーズ全体の特徴

 勇者ヨシヒコは、ドラクエ5の主人公の格好をした山田孝之のビジュアルが特徴的なコメディドラマシリーズだ。どうみてもドラクエ5主人公なので、シリーズを知らない人にはドラクエ5の実写ドラマ版だと思われていたりすることもあるようだが、一切関係はない。(ドラクエパロディは山ほど出てくるが)

メインキャラクター一行(公式サイトより引用)

 主人公のヨシヒコ(演:山田孝之)は、タイトルの通り勇者として旅に出る。ただし、運命的に選ばれた勇者というよりは、なし崩し的に仕方なく勇者になったようなタイプだ。つまり、最強の力を持っていたり、ものすごい血筋だったりはしない、普通の青年だ。ただ、その持ち前の異常な正義感と純粋さ、そして天然さと頭の悪さを武器に、巨悪に立ち向かっていくというキャラクターだ。

 そんなヨシヒコが最初に出合う仲間が、ダンジョー(演:宅麻伸)だ。見た目からしてワイルドでダンディーな彼だが、もともとは山賊かなにかで、ヨシヒコを殺す目的で近づいてきたが、なんだかなし崩してきに仲間となった。彼きっかけで起きる事件や突発的な笑いのシーンはあまりないのだが、その大人っぽさとかっこよさで、チームの良きアクセントになっている。

 3番目に出合うのが、パーティーの紅一点であるムラサキ(演:木南晴夏)である。出会ったきっかけは、ヨシヒコが父の仇(の似顔絵)にそっくりだから殺そうとして、であったが、このあたりの設定はあってないようなものである。
 個人的には非常に大好きな女優さんで、とてもキュートに見えるキャラクターなのだが、作品上はかなり扱いがひどい。次に出会う魔法使いメレブの変な魔法の餌食になり顔芸をさせられたり、貧乳いじりをされたりと散々だ。ヨシヒコにひそかに恋心を抱いているような描写もされるが、恋愛に発展するような描写はないのが残念だ。

 4人目の仲間が、トリックプレイヤー的存在であり、魔法使いのメレブ(演:ムロツヨシ)だ。なんの役に立つのかわからない、非常に微妙な呪文ばかりを覚える魔法使いで、蘇生にかかるお金がいつまでたっても一桁ゴールド。つまり存在としては最弱級のキャラクターである。ただ、本人の自信は立派なもので、ムラサキからどんなに役に立たない呪文だと罵られてもどこ吹く風だ。そんな魔法を活用したネタ要員としても、ムロツヨシお得意のちょっとウザい冷静キャラクターから飛び出るツッコミ要員としても活躍する、欠かせないキャラクターになっている。

 

 この4人のキャラクターたちがともに冒険をしているのは、佐藤二朗演じる「仏」から、魔王退治の指令を受けたからだ。そう、仏教の仏である。ここまでのキャラクターたちからは、まだドラクエ世界観の話だと考えることもできたかもしれないが、仏が出てくることで、ここがもう何でもあり空間であるということが示される。毎度毎度、天から登場して雑なお告げをして、罵詈雑言のラリーをしながら去っていくのがお決まりだ。なんとなく、この天からのお告げというのは西遊記みを感じるが、どこでそんな映像を見ているのかは謎だ。

 勇者ヨシヒコシリーズの全体的な概要としては、勇者パーティー4人と仏が織りなす、なんでもありの面白冒険ドラマとまとめられると思う。

 

 なお、シリーズ的なメインキャラ枠にはもう一人、ヨシヒコの妹がいるのだが、私的にはこのキャラクターの存在意義はよくわかっていない。ストーリーの裏の柱の一本としてお遊び的に入れられたようなキャラクターだ。

 

シリーズ毎の変化とは

勇者ヨシヒコと魔王の城

 まずは第一シーズン。その鮮烈なビジュアルで話題騒然となった記憶がある。シリーズ最初ということで、第一話では、丁寧な人物紹介的エピソードを見ることができる。また、コメディとしての大枠は第一シーズンですでに出来上がっており、以降はどこに注力するかというところで変化をつけているような印象。

 ここでは、ドラクエあるあるを使った笑いがまず目を引く。全体的にドラクエ的ワードやSEが多用され、モンスター造形などを使用した笑いは、このあとのシリーズ全体に共通したものだ。特に目立つのは#5 オイッスの村で出てくる、ツボを割りまくる主人公たちや、テンプレ会話しかしない村人など。ドラクエらしい要素をつかって笑わせてくれる。

 もう一つ目を引くのは、有名俳優や芸人の無駄遣いだ。これもシリーズ全体を通して使用されてはいるのだが、シーズン1はここの楽しみ方というのを最も強く打ち出していると思う。特にやはり、盗賊シーンは、コントコーナーのようになっていて、毎回違った遊びが出てきて楽しく見ることが出来る。

 

勇者ヨシヒコと悪霊の鍵

 第二シーズンに入る。まず第一話はまだ小学生だったとおもわれる鈴木福少年をゲストに迎えて、ヨシヒコたちの新たな旅立ちから描かれる。前回魔王をすでに倒しているのに、再度ヨシヒコを使うためにどうするかという工夫が見れて面白い。ちなみに、この第二シーズンの始まりの時点で、既にヨシヒコたちは天寿を一度全うしていることがわかるのだが、このS2第一話のほかにこの設定が生かされることはなかった。

 第二期では、名作パロディの部分に力をかなり注力しているように感じた。ドラクエモチーフのネタはかなり使ってしまったのか、突拍子もない作品が登場しがちなように感じる。

 特に特徴的なのが、#4トロダーンの村と#5サクーラの村。#4では有名妖異であるトイレの花子さんやら俊夫くんやらが登場しだす。#5にいたっては、全編金八モチーフで、原作を知らなかったら置いてけぼりになりそうなくらいになっている。

 #2でのブス姫ネタのように、第一期からのオマージュ?ネタと思われるが、それに続くように、ムラサキの貧乳ネタなどのような「容姿いじり」の笑いも結構多くなったように感じた。このあたりはよりプライマルな笑いも意識したというところかと想像する。(2023年現代ではかなりきびしいネタに感じるがw)

 

勇者ヨシヒコと導かれし七人

 第三期。最終シーズンは第二期から少し間が空いて制作された。ここで少し毛色にも変化がみられる。これまでよりも圧倒的にパロディネタが多いのだ。これまでのパロディはドラクエや不朽の名作といえるレベルの作品の範囲に収まっていたように思うが、第三期ではドラクエに限らないゲームネタであったり、現行でやっている、別のテレビ局のコンテンツをパロディしたものであったり、中にはau×ソフトバンクネタなんていう、企業CMまでいじるなど、とにかくパロディネタのオンパレードだ。

 パロディネタの消化に忙しくなるあまり、なんとなくメインのストーリーラインがおろそかになっているような気もしなくもないのだが、相変わらず面白いのは確かである。

 シリーズ最終話。過去最強の敵との対峙では、第一期一話の伏線(後付けかもしれないが)を回収するなど、シナリオとしてきっちり落としてくれるため、満足度も高い。悪ふざけの先に、ここまでついてきたファンへのサービスといったところだろうか。

 

 このように、シーズン3つをまたいで完結宣言が出された勇者ヨシヒコシリーズだが、通してみるとそれぞれで違った楽しみを味わうことができた。

 まだ見ていない方も、既にみた方も、ぜひシリーズ通しての一気見を体験してはいかがだろうか。