ささざめブログ

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【ドラマ】今更ながら『池袋ウエストゲートパーク (2000)』を観た話

大人気ドラマ、『池袋ウエストゲートパーク』を今更みた感想。

作品紹介

時は2000年。ミレニアムなこの年、私はまだ10歳にもなっていない頃、大人気を博した作品、IWGP石田衣良原作、宮藤官九郎脚本、堤幸彦監督(演出)と、超豪華な制作陣にキャストも超豪華で、そりゃ人気だわと思わせられる。

ビビッドなビジュアルも目を引くし、その名は何度も聴いていてずっと気になっていた作品。

 

私は、宮藤官九郎作品も、堤幸彦作品もかなり好きだったのだが、IWGPだけはなかなか視聴の機会に恵まれず、この年になるまでスルーし続けてしまっていたのだが、今回一念発起して視聴をしてみることに。

一旦観始めてみると、やや内容の古さと、その暴力性で最初は戸惑ったものの、すぐにのめり込んでいき最後まで一気に観きってしまった。

 

平成のカオスが体現された名作

援交、おやじ狩り、万引き、ギャング……平成初期のカオスっぷりが存分に味わえるのが本作。最初は悪い面ばかりが噴出して、ちょっと見るのがつらいかもしれない、と思ったほどだ。

しかし、物語は全体的に、主人公マコトの誠実な愚直さに包まれており、嫌悪感はすぐになくなっていった。

 

そのカオスっぷりを、見事に表現するのに一番貢献しているのは、やはり窪塚洋介が演じるキングの存在だろう。

カリスマが服を着て歩いているというような彼、もし身近に彼のような人がいたら、自分も仲間に入れて欲しくなってしまうかもしれないと思えるほどの魅力的な人物だ。

女の趣味が悪いというところ以外の弱点は見当たらず、隙のない彼の存在が作品の魅力をグッと引き立てていると思った。

 

中身は以外にもサスペンスだった

実は、IWGPはそもそもどんな内容なのか全く知らなかった私。観始めるまでは、なにか若い青年たちの抗争や色恋沙汰でも描かれているのだと思っていた。

と、思いきや、実際に中を観てみると、1話目から主人公と仲良くなった女の子が死に、一気に引き込まれる。犯人探しのサスペンスが始まるのだ。

 

サスペンスといっても、頭が悪い主人公だ。賢い解決などはほとんどなく、人海戦術だったり、偶然だったり、はたまたほぼ犯罪行為で解決していく。その流れは今でも斬新に感じるものだし、唯一無二のサスペンスだろうと思う。

最後の結末については、珍しい内容ではないものの、本作の雰囲気からそんな流れになるとはという驚きもあってナイスだった。

 

特別編は蛇足だけれど、それもまた良し

スペシャルドラマとして、本編の先の話「SOUPの回」というのがある。そこもアマプラで配信されていたので、すべて見ることができた。

はっきり言って、このスペシャルは蛇足だ。内容も、本編のシリアスさから一変してかなりコメディ寄りだし、これはどちらかというとファンサービス的一本と思ったほうがよいだろう。

 

まとめ

この作品は、2000年頃という空気感の中でしか作り得なかった名作だと思う。今の時代には作れないし、今なお古く感じさせない魅力がたっぷりあった。

一方で、非人道的なこともやっている主人公や他のキャラクターたちには、憤ることもあるが、そのあたりはまあ時代が違うと思って、わらってスルーするくらいがいいのかもしれない。

 

やはり、伝説になるだけあるな、と思わされた作品であった。