ささざめブログ

さめざめと語ります。日記、エッセイ、短編、感想、その他。

【映画】伝説のキッズアクションコメディがリバイバル!『スパイキッズ: アルマゲドン (2023)』

2023年公開。Netflix配信映画『スパイキッズ: アルマゲドン』を紹介。

あらすじ

あるゲーム開発者が、強力なコンピューターウイルスを世に放ってしまった! それを知った兄と妹は、2人で力を合わせて、スパイのパパとママを助け出し、世界を救おうと立ち上がる。

出典:Watch Spy Kids: Armageddon | Netflix Official Site

紹介

スパイと聞けば、あなたはどんな作品を思い浮かべるだろうか。007か、ミッション:インポッシブルか、最近ならスパイファミリーが思い浮かぶ人もいるかもしれない。
私が幼少期に最もワクワクしたのは「スパイキッズ」だ。そんな懐かしの作品が、2011年公開の『スパイキッズ4D:ワールドタイム・ミッション』以来、約12年の沈黙を破ってこの2023年、Netflix配信作品として復活した。

あの頃と変わらない、馬鹿げたビジュアルに、チープながらクールなガジェット。ホーム・アローンを思わせるような、子供ながらの知恵と発想で事態を切り抜けていく爽快感。ハッピーいっぱいなSFアクションコメディである。

しかしながら子供の頃の自分が楽しんだように、やはり本作はキッズ/ファミリー向けの作品。映画通たちの厳しい目に耐えられるかというと……。

 

以下、ネタバレあり感想です。未見の方はご注意ください!

子供が親を救う不変のテーマ

スパイキッズの物語は、プロのスパイである親たちを、その子どもたちが助けるという流れで繰り広げられる。映画が始まってすぐ、ああそうだった!と一気に記憶がフラッシュバック。

この構図は、よくよく考えると、クレヨンしんちゃんの映画と同じ構図だ。子供の活躍がテーマなのだ。もちろん、その中でも、大人のかっこよさが描かれたり、悪役の葛藤が描かれたり、子供は子供で幼稚なところが描かれたりと、完全無欠のヒーローでは無いのが良いのだと思う。

このテーマは本作でも引き継がれており、子供達が親、そして世界を救うために立ち上がり、悪役をやっつけていく物語が描かれている。おそらく子供の頃の自分が今見てもワクワクするだろう。

 

馬鹿げたガジェットは相変わらず良いが……

スパイキッズの魅力として一番に思い浮かぶのは、そのスパイグッズの数々だ。当時も、子供ながらに見ていてワクワクするようなガジェットが沢山登場したが、本作でもそれらは健在だ。これらは、監督であるロバート・ロドリゲスの持ち味でもあるようだ。

ただし、本作ではその数が少ないように思う。見終わったあとに思い出すのは、天井に張り付ける靴、親が使ってたホログラムのPC、自動運転のカート、昔ながらのワイヤー、感情コントロールする玉、めちゃめちゃカワイイ全自動AIロボ……なんか、もっとクレイジーなものが飛び出ても良かったように思うのだが、物足りないと思ってしまった。

 

これは、色々な映画を見回ってしまって、すっかりおとなになった私だからそう感じるのだろうか。いやでも、もっと斬新で馬鹿げたアイデアがやはり見たかった。

 

ストーリーもアクションも薄味で残念

やはりあくまでもキッズ向け映画であり、ストーリー部分がかなり貧弱であると感じた。子どもたちがスパイ訓練をするシーンなんかはかなりワクワクするのだが、スパイ訓練する動機づけや、葛藤も描かれないし、親を助けにいってからのドラマもあまり展開されない。

おそらくだが、登場するキャラクターが足りていないのではないか。ドラマを展開させるには、やはり誰かを投入しないといけないのではないかと感じた。

本作では中盤からはゲーム世界に入り込んでいく流れ(これはスパイキッズ3と同じ設定?)だったのだが、ゲーム世界にいる人間がラスボスである人物だけ。周りのゲームキャラクターとの対話もあったが、薄っぺらい内容だった。

また、スパイ組織OSSのリーダーも小物で役に立たない人物だった。子供たちの活躍を際立たせるためなのはわかるが、例えば彼がもっとスゴみのある人物として描かれたら……いや、勝手なことをいっても仕方ないのだが。

 

アクション部分も、やや期待外れな印象だった。CGがチープなのはシリーズとしてのお約束的な部分なので仕方ないのだが、アクションにはもう少し力を入れても良かったのではないだろうか。もしかすると、主人公の子供二人がやや幼すぎたのかもしれない。スパイキッズ1のジュニとカルメンはもう少し大人だった気がする。

幼さという観点で考えると、無理はさせられなかったというか、コンプライアンス的に限界があったのかもしれない。現代映画製作は難しい。

 

スパイキッズシリーズのリブートとして、寛大に受け入れたい

やはり、大人として、また、シリーズファンとして見ると、やや残念で退屈な印象を受けてしまった本作。ただ、やはり子供の頃にみてワクワクしたあの感情を呼び起こされたのは事実だ。

実は、過去作品のオマージュもふんだんに取り入れられていて、ファンへのサービスも入っていた本作。大人になった今、ああ、あの頃はこういう要素で心がときめいたんだなと昔を振り返ってみるのもありだろう。

 

まとめ

残念なところも多い本作だったが、シリーズを見たことがない人や、ファミリー層には気楽に楽しく見れる一作ではないかと思う。一方で、シリーズファンには物足りないところが多いかもしれない。

どちらにしろ、気楽に、のんびりと見れる映画として、寛大に見たほうが見る方にとっても良いかもしれない。