ほの香著『悪役令嬢めし ~胃袋つかんで破滅フラグ回避~』を紹介/レビュー。
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紹介/感想
ぽっちゃりな30代女性がもりもりご飯を食べようとしている最中に不慮の事故に遭い、ゲーム世界に転生することとなる、異世界転生悪役令嬢グルメモノ漫画。
色々と属性はてんこ盛りだが、全3巻できっちり幸せラストまで無駄なく描かれ切る作品だ。
貴族なのに、丸焼きの肉をその場で削いで手づかみで食べるパーティーの絵面なんかはインパクトも強く、「美味しい食事という概念が消失している」世界の表現は、この作品の特色でもあり、物語を牽引するのに十分な役割を果たす設定だった。
漫画の内容的に、現世から持ち込んだ「マヨネーズ」と「ケチャップ」に頼るシーンが多く、しかも普通にバンバン使うため、「それなくなったらどうするんだ……?」とか「保存状態大丈夫?」とかの疑問は絶えないのだが、まあ言うだけ野暮というものだろうか。
一番最後は、きちんと現世の料理知識をフル動員して、人を助け、ハッピーエンドを迎える。本来なら、ゲームキャラクターのイケメンたち一人ひとりを料理でねじ伏せていくような展開も考えられたのだろうが、かなりあっさり終了してしまう印象だ。
まあ冷静に考えると、食の楽しさを知らない世界の人々にそれを教えるというのは、あまりにもインパクトの強い事象であると思われるため、そこまで描ききらずに想像に任せるというのもなかなかうまいやり方と言えるのかも知れない。
異世界グルメ系漫画で、悪役令嬢・恋愛成分も味わいたいという読者は読んでみても良い作品だ。