ささざめブログ

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【漫画】一家全員異世界転生(猫もいっしょ)『田中家、転生する』(既刊4巻)の感想

猪口原作、加藤ミチル漫画『田中家、転生する』を紹介/レビュー。

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紹介/感想

たった一人で異世界転生なんて、心細いったらありゃしない。じゃあ、家族全員で転生しちゃおう!な感じの、家族転生物語。それが、『田中家、転生する』だ。

父と母、長男、長女に次男の5人家族が一斉に転生前の記憶を取り戻したところから物語はスタート。全員が転生してきているのと、転生後から記憶を取り戻すまでの記憶が全員残っているパターンの導入だからか、とにかく話が早くてストレスなく読み始められる導入。


主人公となるのは、長女のエマ(中身は35歳OL)。天然虫好き人タラシ。可愛らしいビジュアルながら、頭にクモのバイオレットを乗せて走り回るほど豪快だ。とある事件により、途中から顔に傷を受けてしまうのだが、それもまた個性となっていてかっこかわいいビジュアルに仕上がっている。

ちなみに、中身が大人だから……というレベルじゃなく、完全に"変態"の域に到達している主人公は、言動が突飛で予測不可能なのだが、なぜか周囲から聖女扱いされてしまうタイプの人種。

彼女が事件を起こす度、兄のゲオルグ(中身は38歳建設業)と弟のウィリアム(中身は33歳アフロフリーター)の二人が困惑。彼女にメロメロになってしまう被害者たちを目にして冷や汗。そんなドタバタ感が楽しい一作でもある。

巨大猫の魅力

もう一つの特色、というか、この物語の真の魅力は「猫」。しかも、「おっきい猫!」だ。

現世から、田中家の面々とともに転生してきたと思われる4匹の猫。コーメイさん、リューちゃん、かんちゃんにチョーちゃん。ちなみにコーメイさんの本名は田中諸葛孔明。つまり、残りも田中劉備玄徳、田中関羽雲長、田中張飛益徳といった具合だろう。なかなか良いクセになるネーミングセンスではないだろうかw

私のパートナーも、もし次になにか動物を飼うなら、同じネーミングにしようかと言っていたほどだ。


そんな愛着の持てるネーミングな猫ちゃんたち。象くらいの巨大な姿で異世界に姿を現す。しかも、この猫ちゃんたち、どうやら不思議な力をもっているようで、超強い。

作者コメントから見ても、おそらく、本物語での最重要キャラクター。それがこの猫ちゃんたちなのだ。


もふもふ要素をたっぷりもたらしておきながら、物語もけん引する魅力的なコーメイさんたちの魅力が爆発している漫画だ。

漫画既刊4巻まででは、まだまだ彼らの出番が少ないので、もっと出してあげてほしい!と思いながら読んでしまった。

まとめ

巨大猫ちゃんたちがなにを思ってエマ(主人公・港)を守っているのか。港を襲う黒いもやの正体はいったいなんなのか。最初の印象に反して、意外に奥深い物語が形成されており、今後の展開が楽しみな一作だ。

まだまだ物語の行きつく先が読めない本作。主人公を思う、商家のそばかす息子と黒髪第二王子の恋愛バトルも見ものだ。ただ、個人的には、現在展開的に出番の少ない父と母や、コーメイさんたちの活躍がもっと見たいと願っている。