柚原テイル原作、sora漫画『転生魔女は滅びを告げる』を紹介/レビュー。
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紹介/感想
長大なスケールにワクワクが止まらない!
主人公は元引きこもりの転生者。数奇な運命の持ち主である彼女は、転生後もひきこもる生活に。
母を失い、森の奥でひっそりと暮らす生活の中で、ある日青年と出会ったことをきっかけに、世界へ飛び出すところから物語が動き出す。
ハイ・ファンタジーを標榜するだけあって、剣と魔法と竜の世界がとにかく濃厚で高潔で最高だ。そんな世界での主人公の役割は、ドラゴンを統べると言われる詠み手(コーラー)。
いやなにそれ!かっこよ!と、厨二心がくすぐられる設定。相棒・ヒーロー的存在となる王子様キースも、後に手に入れる役割は伴い手(ステアラー)。かっこいいじゃねぇか!
美麗で壮大な漫画表現と、没入度が高い複雑な世界観、ドラゴンとその周囲の人々のキャラクターも秀逸で、隙のない作品という印象。
「転生」というワードだけで切り捨ててしまうのはもったいない作品だ。
感動的な旅立ちからのスタート
追放物語などで、非常に大きなストレスをかけてからスタートする漫画が非常に多い昨今だが、この作品の冒頭は個人的にかなりグッとくるスタートだと感じた。
過度に誰かを貶めることもなく、主人公の認識を改め、前向きに幸せが待つ未来への旅立ちといった風で、とても素晴らしい幕開けになっている。
既に亡くなっているママの秘密もまだまだ気になる状態だ。
ドラゴンと人間の行く先は
主人公セナと、深くかかわることになっていくドラゴンたち。どいつも癖が強く、超然としていて行動原理が読めない存在に仕上がっていて、彼らの動向から目が離せないところも作品の魅力だ。
セナに求婚し続ける風のドラゴン・リシュカルは、ドラゴンらしい種の強さを見せつけつつも、かっこよさと怖さとかわいらしさが混在していて、女性人気が高そう!と思わせられるキャラクター。
火のドラゴン・ギデオンと、水のドラゴン・シーリィーンの二人は、それぞれ違った形で人間国との深いかかわり方を見せ、この先の主人公との関係性も気になる状況。
この先も、詠み手である主人公の前にはまた新たなドラゴンが登場するのではないかと思われる。どんなキャラクターが待っているのか、今から楽しみだ。
最新刊では、王子キースの覚悟も見られ、主人公と彼の関係性がどうなっていくかなど、目が離せない所が沢山ある。良質なファンタジーを求める読者にはぜひ手に取ってほしい一冊だ。