アニメ『自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う (2023)』が完結したので、感想を書く。
あらすじ
交通事故に巻き込まれた俺が転生したのは……なんと
「自動販売機」だった!?
白い四角形の体に、出てくるのは機械音声のみ。
自力では動けず、会話もまともにできない危機的状況の中、
元・自販機マニアとしてのアツいサービス精神に火がつく!
コーラ、おでん、カップ麺……異世界住人の胃袋を掴むうちに、豊富な知識と奇抜なアイデアで、冒険にも参加することに!?
前代未聞!無機質な主人公が贈る、
あったか~い自販機アニメが爆誕!
紹介
現代にあふれる異世界転生物語。もう飽き飽きだよ、というアニメ好き諸氏も、このアニメだけは想像しなかっただろうというのがこの作品、『自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う』だ。
その名の通り、本作は「自動販売機」転生。いや、そんなのどうやって展開するの!?という疑問・疑念をすっかり打ち砕く、痛快な物語である。
シーズン2も製作が決定しており、存外に(?)好評だったのだろうかと思わせる本作。その設定上、どうしてもバカバカしいと感じるシーンは多いが、意外過ぎるその展開は、一見の余地がある。
以下はネタバレありの感想です。ご注意ください!
自動販売機という唯一無二の主人公
この物語は、とにもかくにもその主人公の「自動販売機」という性質に頼っている。自動販売機を異世界に生み出したら。自動販売機を主人公にしたときに、どうやったら物語が面白くなるのか。そういうのをとにかく考えて考えて考え抜いたのだろうというのが想像つく。
その苦悩を実証するかのごとく、主人公は最初から最後まで徹頭徹尾自動販売機だ。最初は飲み物やスナックしか出せないが、麺類やら水やら氷やら風船やら、ありとあらゆる古今東西の謎自販機を持ち出し、苦境を脱していく。
まあ、そうはならんやろ!とツッコミが止まらないシーンも多々ありまくるのだが、あまり難しいことは考えず笑って楽しむのがオススメだ。
そんな、自動販売機という難しすぎるキャラクター・ハッコンを演じるのは、福山潤。2枚目も3枚目も演じきる超人気実力声優だ。彼のおかげで、終始楽しい物語が繰り広げられた。現代人の視点があるからこそ、ツッコミ役も担っているのだが、自分自身が一番おかしいので説得力はないと思ったw
後半はやや失速気味か
主人公が自販機であることこそがこの物語のフックではあるのだが、如何せん、終盤は変化に乏しいようにも感じた。
他のなろう系でいえば、どんどんと新たなスキルを獲得して、無双を繰り広げていったりするものだが、本作のハッコンはやや控えめな印象。また、現実にある自動販売機という枠から出きらないので、どうしても自動販売機紹介的な雰囲気が出てしまうのはマイナスポイントだ。
困ったことがおきる→(現実にある)自動販売機機能を上手く駆使して問題解決する、という流れが楽しめるかどうかというのは、本作を楽しめるかどうかに繋がってくるように思う。
個人的には、なるほどそこでそうくるのか、という見方だったり、あるいは、いやそれは無理だろ!と突っ込んだりしながら楽しむことができたが、必ずしもみんながそうではないだろうと推測する。
まとめ
とにかくその自動販売機という突飛過ぎる設定ながら、意外にも物語は堅実に進む。メインキャラクターのラッミスも無駄に可愛く健気なため、応援したくなるキャラクターだ。
終盤の展開にはやや物足りなさも感じるが、個人的には第二期ではまたどんな自動販売機が見れるのだろうかと、今からワクワクしている。