ささざめブログ

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【エッセイ】事故物件は正しく怖がろう

 事故物件。心理的瑕疵物件の一種。多くの人にとってそれは忌避すべき物件だろう。不動産屋にとっては、告知義務が必要な程だ。

 私は、ホラーが大好きな一方で、心霊現象は全く信じていないタイプの人間だ。だから、幽霊が出るのが怖いというようなことは全く気にならない。そもそも歴史を遡っていけば、そこらじゅうで生命は死んでいるわけだし、幽霊が出る、とか悪霊が……なんてのはナンセンスだと思ってしまう。

 しかし「事故物件」というものにはある種の恐怖を感じている。それは「環境」に対する恐怖だ。

 私は、人の精神的/肉体的健康に「住環境」という要素の影響が大きいと考えている。つまり、日当たり・部屋の広さ・窓から見える景色・騒音・日常生活における便利さなどの要素は、ただ「住心地のよさ」に影響するだけではなくて、「健康」という命に直結する部分に影響するのではないか、という考えだ。

 話を事故物件に戻す。事故物件に多くあるパターンは「人が死んだ物件」だ。そして、多くの場合、問題になるのはその部屋で起きた自殺、あるいは他殺ではないだろうか。(もちろん老衰や病死も事故物件として扱われることはあるだろうが)
 この「自殺」「他殺」という要素はそこに住む人、あるいはその関係者の「精神的健康」が阻害された結果によりもたらされるものであるケースが多いと考えられる。この健康阻害というものが住環境からの悪影響によって引き起こされるのではないか?というのが私の考えだ。

 居住者が長く続かないような事故物件であれば、それは怨念なんかではなく、住環境としてなにかしらの問題がある可能性を考えるべきだと思う。もしかしたら空気の汚染度が高いのかもしれないし、心霊スポットにありがちな磁場(?)が狂っているのかもしれない。(磁場が狂うことによる超常現象が本当にあるのかどうかは知らないが)

 ただ、「人が死んでるから怖い!」や、「幽霊なんて居るわけないから事故物件なんて関係ねぇ!」と短絡的に考えるのは危険だ。事故物件となった原因にきちんと目を向け、正しく怖がることが大事だ。

 

 まあ、それを達成するには、事故物件であることをきちんと告知・説明してくれる不動産屋が必要なわけだが……必ずしもそんな業者ばかりではないのが悲しいところだ。

 

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 特殊清掃業で、YouTubeでもよく拝見している関西クリーンサービスさんと、大島てるさんのコラボ動画、面白いのでオススメです。 

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 なおこの記事は、noteで書いていた記事のリライト版です。