えすのサカエ著『未来日記』と、その後日譚(?)を収めた漫画『未来日記リダイヤル』を紹介/レビュー。
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・未来日記
・未来日記リダイヤル
紹介/感想
ずいぶん昔に読んだ記憶のあった本作。なんとなくとても面白かったという記憶はあったものの、内容がかなり朧気だったため、セールに合わせて全巻購入。結果、最高の漫画体験であった。
次代の神を決めるという壮大な戦いのため、12人(7thがペアなので正確には13人)の参加者に「未来日記」の能力が付与され、命の奪い合いをするストーリー。
ある種のバトルロワイヤル/デスゲーム要素を含みつつ、複雑な仕組みと手に汗握る心理戦、全12巻を息もつかせず一気に走り抜く快作。
改めて読み返すと、世紀のヤンデレヒロイン我妻由乃を代表とする、癖のありすぎる登場キャラ達がたまらなく愛おしい作品だったことに気づいた。
主人公の天野雪輝が、とことんヘタレというか、頼りにならないやつでヤキモキする場面も多いのだが、だからこそ周囲のキャラクターの異常さが際立つのだ。
それに、雪輝自身の弱さも、単純な「優しさ」でうまいこと丸めようとするのではなく、あくまで「甘さ」として描かれきっているように見えて、とても潔いと思う。綺麗事なんて関係がない、究極の愛を描いた漫画なのだ。
好きすぎるキャラクター達
なによりもこの作品を際立てるのはヒロイン我妻由乃の存在だろう。
一度読んでいるはずなのに、こんなにも行動が予測できない事があるだろうか。そしてやばすぎる隠された秘密。彼女を超える「狂った」ヒロインというのは、なかなか見ることはできないはずだ。
もう一人のヒロイン(?)とも言うべき白髪の美少年、秋瀬或。
いや、君もうどう見てもカヲル君だよね?と言いたくなるのだが、なんとアニメの中の人も石田彰。おいおい!やりすぎだよう!
非常に知的でミステリアスな彼だが、主人公雪輝を心の底から愛しているというのがまた、キャラクターを複雑足らしめている。上手い!
そして、忘れてはならないのが「もうひとりの主人公」とも言うべき、眼帯クレイジー爆弾魔雨流みねね。
ビジュアルの良さがそもそも爆発しているのだが、めちゃくちゃイカレ女のくせに、妙に面倒見が良いところもあったりと、好きにならずにはいられないキャラクター。
スピンオフ作品で主人公を務めるようだが、そもそも本編中盤でも普通に主人公ポジションに収まっている時期があるくらいの存在感を放つ。正直、一番好きなキャラは彼女かもしれない。
スッキリ終えるためのリダイヤル
本作のシナリオは、最終的にかなり難解な方向へ向かう。本編12巻を読んだだけでは、「なんかハッピーエンドみたいだけど、これってどうなってるの!?」と混乱必至だ。
きっと、連載当時はあれやこれやと考察が捗ったであろうなと思わせる内容なのだ。
そして、そんなたくさんの謎や、色んなキャラクターたちのその後など、様々な読者の疑問にある種の答え合わせをもたらしてくれる。それが、「未来日記リダイヤル」の一冊だ。
通常の単行本の半分程度のページ数であり、その分少しお安くなっている本作。ここまで読み切って、ようやく未来日記の物語が完結したような思いがする。
由乃視点をメインとした、アフターストーリー。もし未来日記を読んだことがあって、こちらを読んだことがないという人がいればぜひ手にとってほしいと感じた。
ガラケーを駆使した生き残りバトルロワイヤル。最近では名前も聞くことは少なくなったが、やはり名作だった。
スピンオフなどの関連作はほかにも『未来日記モザイク』『未来日記パラドックス』、さらにはハードギャグ化したという『未来日記モザイク消し』などがある。引き続き時間を見てこれらの作品も楽しみたいところだ。
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