ささざめブログ

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【映画】隠れた良作?事故物件が舞台の心霊ドキュメンタリー『呪【ノロイエ】家 (2017)』

意外に悪くない!超低予算系ホラードキュメンタリー(モキュメンタリー)をご紹介。

(カテゴリ的には映画にしてますが、映画とは呼ばないかも。すみません!)

新たなホラーものが出てたんだなぁと思って何の気なしにみてみたら、意外な掘り出しものだった。

 

最初の10分は所謂「ほん呪」系の投稿映像を2本紹介。正直いらないなぁとも思うけど、作品の前提部分を表現するためのパートという感じ。ただ、これがあるためにチープさが増してるという気もするのだけどw

ただ、1作目1本目の、マンションの廊下で揺れている女の画はマジで怖いし最高だった。画像

 

本編はそのあと。事故物件に住んで金銭を得る、という「ルームロンダリング」をテーマにしたモキュメンタリーになっていく。

事故物件系の作品はよくあるけれど、この「ルームロンダリング」というテーマの置き方は、新しい気がする。仕事としてやってるから簡単に退去できないんだというシステムも作りやすいし(事故物件住みます芸人的なことかw)

 

低予算作品なので、心霊描写こそ合成感ありありでチープな感じはあるけれど、そこに至るまでのシナリオとキャラクターが良くて意外に引き込まれた!
主人公の女がやけに強気で、やさぐれながら「音(ラップ音)が酷くて全然寝れてない」なんてイラついてる姿がなんかおかしくて笑ってしまうw

パラノーマルアクティビティもので欠かせない睡眠中の映像も、ポルターガイストバンバン発生してるのに全然起きないで豪快な寝相して寝てる主人公は最高。この辺りは、コワスギの工藤さんみたいな感じで、「よくあるホラー作品の登場人物像」からの逸脱を作ろうとしてるのかなと感じた。

前の死んだ家族の布団をフツーに使っちゃう神経の主人公を女性で表現できているのは本当に唯一無二ではないだろうか。

 

そして、ずっと強気に感じていた主人公も、終盤は追いやられていく。それでも最後まで逃げずに撮影を続けるガッツ。ほかの作品だと、「いやなんで回してんだよw」が勝ってしまうときもおおいけれど、このキャラクターだと、確かに意地でも続けそうかも、と思わせてくれる。演じられている女優さんも本当に素晴らしいと思う。

 

1ではいかにも何か出そうな小汚い団地感のあるお家で、ロケーション的にかなり良い(どうやら、心霊系作品ではよく使われるスタジオらしい?)。2は一転して小綺麗なマンションっぽい雰囲気だけど、それでもなにか起こりそうな感じはキープされていて努力が見える。画像

 

2も1と殆ど同じストーリー展開ではあるんだけれど、2では1よりも口が悪くなった主人公が楽しめる。しかも前回よりも霊の殺意が高く、さすがにこの主人公も精神的にダメージをかなり食らっている様子。心霊描写もややパワーアップを感じさせる出来。1を楽しめたらぜひ見てほしい。

前回は終盤まで全然食らってなかった主人公だけに、「あと2ヶ月近くあんのか……」は結構な絶望感の演出になってる。そして毎回きてくれる友人。こいつらの不思議な関係性もいいんだよなぁ。毎度心霊現象が起きてる映像まで見せられてんのに、なんで毎回来るんだよw

 

2作目最後で、彼女がルームロンダリングから手を引いたということが語られてしまう。まあ確かにこのテーマだけで3作目以降は難しいか……。しかし続きが見たくなる作品だ。

なんにしろ、予想外に楽しめた作品だった!大満足である。